続 私が【雨と虹のプレイリスト】をブログ公開した理由(裏テーマと虹パート目次)歌詞から読み解くSumikaとbanbi 2「社会」から受ける傷と癒し方
この記事は、私が【雨と虹のプレイリスト】をブログ公開した理由と、Sumikaというバンドの成長物語(?)と、プレイリストの第二部虹パートの目次、というちょっと複雑になっているかもしれない記事です。
前回がこちら
前半が記事、プレイリストの目次は後半です。
まずはSumikaの話から。
インディーズになってから人気が出たSumika
Sumikaは、インディーズになってから人気が出たバンドのようです。
前身のbanbi(いちおうメジャー)からSumika(インディーズ)になってどれくらい人気に変化があったかというと、
Youtubeで、人気があるのかな、という曲を比べてみても再生回数が2桁違います。
- banbi 20万回再生ちょっと
- Sumika 1000万回再生以上
こんなことってあるの、同じバンドでここまで差が出るものなの、というくらい違う気がします。
今のSumikaの音を聴くと、とても充実しているらしい、って歌でわかる、という記事を書きました。
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「雨と虹」のプレイリストに入れた『Door 』も『アネモネ』も、聴けば声高らかに歌ってますよね。気持ちがいいくらいです。
でも違う(ミニ)アルバムから入れた『雨天決行』は<反撃の合図>なので、どしゃぶりの雨の中、Sumikaを始動した、っていう心境が表れていると思います。
社会から受ける「傷」と信頼感の喪失
そして同じミニアルバムに収録されている「イナヅマ」はもっとひりひりしているような気配を感じてしまうんです。
歌詞でいうとこんな感じで。
上司の無情な廃棄の勧告
需要と供給
絶滅と増殖
伴って痛みは放っぽって
ニーズに会わせた産み分けを
できないやつはわが社にはいらない ーイナヅマ
これ、リストラを暗示させる歌詞です。
中でも<伴って痛みは放っぽって>がすごく気になりました。
歌詞であまりあまりこういうものを見たことがなかったのでドキッとしたのですが、実際に組織とか組織の論理ってそうです。
だからきっと、Sumikaになる前に、解散の原因には、そういうこと(<無情な廃棄の勧告><伴って痛みは放っぽって>)があったんだな、ということをここの歌詞から感じました 。
リストラしかり、特に社会から傷つけられることがあると、「信頼する」ということができなくなりますよね、人も、まわりも。世の中も。
人間同士でも傷ついたり傷つけ合ったりはしていますが、中でもたちが悪いのが社会の仕組みが人を傷つけること じゃないかな、という気がします。
社会っていう対象が大きすぎて、どこに怒りをぶつけたらいいのかわからないですし、「人」と「人」はまだわかり合えるかもしれないけど、「人」と「仕組み」はどうやってもわかり合えないなあと思って。
へんに戦おうとしてしまうと、のれんに腕押し状態になって、消耗するだけです。
痛みの先にあるものが
僕ら照らし出し
世界を変えていくように
出会えますように
開きますように
僕だけの君だけのイナズマの先で ーイナヅマ『新世界オリハルコン』
痛み、っていうワードがまた出てきました。
でも、この辺りからは、確かに傷は受けたけれど、ここから世界を変えてやろう、という気概を感じます。
こういう歌詞にロックという曲調はとても合うなと思うんです。
そして、
開きますように
っていう歌詞は、新曲の『Door』にも繋がっているのかな、という感じ。
なかなかフルアルバムを出さなかったSumika
Sumikaでフルアルバムを出しましょう、って言われてもフルアルバムからずっと逃げてたせいでハードルが上がって・・・
というようなことをSumikaが語っていました。
(EPやミニアルバムをちょこちょこと出していて、フルアルバムをなかなか出さずに来ました。かれこれ5年ほど)
フルアルバムが出せなくてミニアルバムが出せる理由はよくわからないのですが、アルバムを出すと、ランキングや評価がある程度固定されたものになるからでしょうか??
ただ、どうもフルアルバムを作らなかったのには、漠然とした「不信感」が理由の一つにあったみたい、というのを、いくつかインタビューを読んで感じました。
banbi解散からインディーズへ
banbiの解散については、banbiのホームページがまだ残っています。(活動休止、という言い方です。表紙のみ、コンテンツは見られません。)
解散前から、banbiから抜けるメンバーが出ており、抜けたメンバーの後一人が加入してまもなくbanbiが解散、ここまでブログでわかります。
banbi Official blog「banbi powerblog」Powered by Ameba
(今よりめちゃくちゃ手づくりっぽいです。)
それをきっかけに音楽そのものを辞めるメンバーもいて、音楽を諦めなかったメンバーが残った。
そのとき今のインディーズレーベルに声を掛けられて移籍(それがまたSUPER BEAVERと同じレーベル)
ベースが抜けてしまったので、そのまま活動。
今もベースはサポートメンバー、サポートキーボードが後に正式メンバーとして加入。
つまり、基本的にメンバーチェンジはしていないのです。なのにバンド名を変えて再始動した。
ちなみに、前身バンドの名前は、公式には公表されていないようです。
home | sumika OFFICIAL WEBSITE
( サイトがかっこよくなっています。)
Sumikaファーストミニアルバムからファーストフルアルバムへの変化
移籍後、Sumikaとして初めて出したミニアルバムに収録されている<反撃の合図>を出す『雨天決行』と、リストラを匂わせる『イナヅマ』。
このときの曲を聴くと、傷ついた気持ちを抱えてたままでいる、ということがなんとなくわかるんですよね。それを反逆精神でなんとかしようとしている、いうことも。
だから曲調はロックがふさわしい。歌詞もヒリヒリしていて、このミニアルバムの曲は、banbiにもその後のSumikaにもない要素を持っていると思います。
そういう意味で今のSumikaや、解散前のbanbiから考えてみても「異色」な存在かも。
この2曲が収録されているアルバムはどれかというとこちら。
解散した翌年のリリースみたいですね。聴いてみましたが、音はストレートなロックらしい音だけど、歌詞は今より捻った感じのものが多い印象でした。
『雨天決行』は雨と虹プレイリスト内で紹介済み、なので、『イナヅマ』試聴を
だから、これを聴いてからアルバム『Familia』を聴くと、同じバンドが作ったとは思えない音や歌に聴こえるんですよね。
以前はロックだったのにポップになった、という意見もあるようですが、単純な路線変更というより、どちらかというと「好きなことが好きなようにできるようになった」というのが近いのではないかなと感じます。
いくつも表現したいことがあれば、表現したいこと、それぞれに合った曲調があり、それが自在にできるようになった、それが今のSumikaの音、そんな気がします。
ロックな音を作らなくなったわけではなくて、ロックな曲はロックな曲として作るけど、Sumika初期の頃とはちょっと変わって、さわやかなロックになっている感じです。
例えばこんな感じ
『Familia』は、どの曲を聴いてもヒリヒリや棘が取れていて晴れやか。
だから『Familia』を聴いたときの「なんだろう、この不思議な力は」という第一印象は、今は「ほんとよかったねえ」に変わっています。
不信から信頼へ
それで満を持してリリースしたフルアルバム、『Familia』ですが
聴いてみると気持ちいいくらいスカッとしています。
聴いたひとは「元気が出る」っていう。
作り手は、アルバムに『Familia』っていうタイトルがつけられる。
前のバンドが活動休止(解散)に追い込まれるっていう状況の中、
時間をかけて、やっぱり音楽を通して、人を通して、まわりも世界も家族と思えるくらいの信頼感が生まれたのかな、って思ったら、このアルバムの存在そのものに、なんだかじんときてしまったんですよね。
「なんだまた敵か」
そう思って見てみれば
その人は微笑んでいたんだよ
気付けば足鳴らし笑い合って
傷跡を讃え合って
揃っていた ーアイデンティティ『Familia』
傷つくことがあると、その瞬間、みんな敵にみえてしまうことがある、でもそれは思い込みかもしれない。
良く見たら頭の中で作りあげた「世界」は思い込みで、真実はそうじゃなかった。
それに、『イナヅマ』での「傷」が「傷跡」に変わっていますよね。既に傷が癒えている証拠だと思います。
傷跡のこっちゃったみたい。でも、それに誇りを持て、と次に紹介する曲で歌っています。
それから「雨と虹プレイリスト」に入れた『Door』のこの歌詞
扉開けて
歩み出せ
たとえ毒されようと
扉開けて
誇り持て
傷ついたその足を ーDoor『Familia』
振り向いたら
負けな気して
足跡見物我慢し
扉開けた
その先で
水たまりを見れば
理想の自分だろう ーDoor『Familia』
特に後半部分がそうかなと思うのですが、この曲は、声が出なくなったボーカルの片岡さんの療養中に、彼を励ます意味でキーボード(ピアノ)の小川さんが作ってきた曲で、それを片岡さんが受け取って、小川さんの曲から受け取ったものを今度はリスナーに渡す意味で歌詞を付けた曲、だそうです。
もともとこのアルバムを聴いて、よく言い表せない、不思議なパワーがあるアルバムだなと思ったのですが、
もともと自分が好きな曲調というのは以前紹介した2曲(『Summer Vacation』『someday』)のような曲だったんです。
ところが、Sumikaの前にはbanbiがあって〜、っていうのを知って、banbiを聴いて、こんな良い曲作って歌っていても売れないものなのかと驚いて、Sumikaとしてデビューした『イナヅマ』を聴いてから、アルバムの『春風』『Door』『アイデンティティ』『アネモネ』を聴き直すと、「やば」かった。
それで、【雨と虹のプレイリスト】を作る時に、Sumikaのことが念頭にありました。
Sumikaの曲は雨と虹のプレイリストの「虹」の この辺りに入っています。
分かれちゃいました。
では、Sumikaになって順調だったのか、というと、途中でボーカルの声が出なくなって活動休止になるという災難もあって、ほんとに一筋縄ではいかなかったと思います。
それでもやめないし、諦めない。
(ボーカルなしでライブをやったこともあったとか。そしてお客さんも来るのをやめない。)
ボーカルのいないライブに参加したり、昔から変わらずに応援し続けた人もすごいな。
ここまで、Sumikaの『Familia』の持っている不思議な力のわけと、バンドの音や歌詞から、変化の理由を考えてみた、でした。
雨と虹のプレイリストのわけ
で、結論オブ結論として、なぜこのプレイリストをつくってブログで公開するということをやってみたか。です。
まずSumikaを辿っていってすごくよくわかったのが、ちょっとメジャーに籍があっていい音楽作っていれば売れる(安泰)というわけでもないし、
自分の意志でなく、その籍がなくなっても、以前の100倍の人気が出ることもある。
(100倍は、Youtube再生回数で一寸サバよんでます)
つまり、何がきっかけでうまくいくようになるのかもわからないし、反対にどんなアクシデントがあるかもわからない。
ずっと成功し続けることはもっと難しい。
今回は音楽という媒体を使ったので、バンドさんの話になりましたが、もちろん、これはバンドや音楽ビジネスに限った話ではなくて、どんな人にもあてはまる話でもある、とも思います。
バンドやってる人もそうでない人も、自分の信じた道を進むという人に、
そして、自分の意思では、思うような道を選べなかった人もいる、いや、そういう人の方が多いと思います。
そういう人もそうでない人も「聴いた人みんなまとめて幸せになれ」くらいの気持ちで、このプレイリストを作っていました。
そして、悲しみで何もわからなくなってしまう時もあると思う、悲しいことは悪いこととは限らない、必要なことかもしれない、そういう時は、原点に戻ろう、そうしたら見えなくなっていたかもしれないけど、見えて来る大事なものもあるはずだ、っていうことも含めていいたかったんですね。
それを何かで伝えたくて(自分にも)
それで「雨と虹」っていうプレイリストを作って公開してしまったんですよね。
これは自分のためでもあるけど、 ネットの片隅にちょっと置いておいたら、誰かが気づいて、聴いてくれる人もいるかもしれないな、そうしたらちょっとおもしろいかもしれないなって。
それが「プレイリスト」っていうものをブログを使って公開する、っていうちょっと面倒かもしれないことをやってみていたのでした。
そして何か説明書きをつけないと、聴いただけでぴんとくる人ってそう多くはないだろうな、とおもって今サブテキストを書いているところです。
プレイリスト、自分のためだけに作るの楽しいですけどね。
他のひとが聴くもの、という要素が絡まると、それと違う難しさが出てきてしまいます。
試聴コーナー
試聴はお手数ですが試聴ページからおねがいします。
第二部虹パート
27.〜32はこちら
33.〜38.はこちら
39.〜42.ははこちら
43.〜47
さいごまでおつきあい下さり有り難う御座いました。
そしてまだ聴いてないひとは、ちょっと面倒でも、一度試聴でも聴いてみてくださると嬉しいです。
あなたの心に虹がかかりますように、そして、心や人生が土砂降りの時は、ポケットに虹を詰めて。
ある雨(上がり)の日に