Sumikaの[Lovers]歌詞に秘められた3つの意味[LOVE](アルバム[Familia]より)
今年初めて聴いた人(バンド)の中で、最も良く聴いたアルバムの一つがSumikaのこのアルバムです。
それで、あまりに聴きすぎたので、プレイリストに混ぜてバラして聴くようになって、このプレイリストを作ったときにもリード曲に入れたり
「雨と虹」のプレイリストにも入っていますし・・・
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このブログでも好きな2曲を紹介していますが、それはSumikaを代表する曲ではなかったり、アルバムそのものの紹介はしていなかったと思います。
今公開途中の「雨と虹のプレイリスト」の中でSumikaの曲は3曲入っていて、それがプレイリスト全体の流れの中でとっても重要な意味を持っているので、まずは代表曲と、Sumikaというバンドの紹介をちょっとしておこうかな、という記事です。
Sumikaの代表曲『Lovers』
このアルバム『Familia』の中には『Lovers』っていう曲があります。
この曲は人気があるみたいで、今みたら動画の再生回数が1000万回を超えていました。
今のところ、sumikaの代表曲って言っていいかなと思います。
(わたしもYoutubeでみて一番最初に気に入ったのがこれ)
最初は、この曲、曲調は明るくポップで楽しい。聴いててハッピーな気分になる。
それでいて歌詞は、(相手が)浮気してもいいから、最後まで添い遂げたいです、っていうので、一途でちょっと変わったラブソングだなあと思っていました。
(ちょっとソーナーポケットみたいな、声質が星野源で歌声がスキマスイッチみたいな)
SumikaのLovers一つ目の意味
聴いてみると気まぐれ意地悪されたり、わがままに振り回されたり、はしているので、全体的には一応ラブソングの形式ですよね。
よーくきいてみると、この曲の歌詞は、一人称の「僕」が半ば一方的に想いを語っているのですが、相手になる「君」とか「あなた」っていう言葉がこの曲にはでてこないんです。
そして、アルバム『Familia』の他のラブソング的な曲
(『someday』、『アネモネ』、『ここから見える景色』、『まいった』、『伝言歌』)には
「君」「あなた」がちゃんと入っています。
それなのに、『Lovers』にだけは誰も出てこないのがちょっと不思議。
それに、Loversって「恋人たち」っていう意味で、ニュアンス的に「君と僕」っていう感じではない気がするんですよね。
それに、この曲は「僕」が主人公の視点で描かれているのに、タイトルが『 Lovers 』(複数)なのがなんとなく気になっていました。
ラブソングにしては、なんだかひとごとみたいでしょ。
逆にいうと、そこは相手が「君」に限定されていない余白というか、想像の余地があるので、他の意味があってもおかしくないかも、と思うようになってきました。
SumikaのLovers第一の意味
この曲はラブソング、しかも浮気性の彼女と結婚を決意する歌と考えるのが一般的な解釈だと思うし、そうとられるように書かれているとも思います。
ふつうそう思いますよね。
それにしては、ねえ浮気してねえよそ見して、って歌っているので、腹を括るのは男らしくていいんですが、ちょっと先走りすぎてないですか、相手さんのそれ終わってからでも遅くなくないですか、って思ったのです。
でも、別な意味なら、浮気して、も納得できるかもしれない。という気がしてきました。それが二つ目の意味です。
SumikaのLovers二つ目の意味
浮気してよそ見しても納得できるかもしれない・・というのがここのあたりの歌詞
たくさん比べて欲しい
そんで何百万の選択肢から選んで欲しい
だってその方がずっとずっと
最期まで寄り添い遂げられる気がしているから
これは、もしかしてファンに対しても言ってるのかな?という気がしています。
恋愛で選択肢が何百万もあるか、っていうと、そうでもないです。
恋愛の選択肢にしては何百万は多すぎるなあ、と。
だいたいそんなにたくさんの人に出会わないから。
それに、選ぶ権利もあるけど、反対に選ばれるというアクションもあっての恋愛だから、選択肢はそんなに多くならない、と思うのです。
でも音楽だったら、何百万の選べる選択肢があるかもしれないです。
実際今そうなっていますよね。
だから二つ目の意味は、ファンに対するメッセージ、という意味合いもあるのではないか。と思ったのです。
声が出なくなったSumika
そう思った理由なのですが、sumikaは、活動休止していた期間があるみたいで、その理由が、ボーカルの声が出なくなる、しかも原因不明で、この先声が出るようになるのかもわからないっていう、結構バンドとして致命的な状態を経験しています。
その活動休止後に最初に発表したのが『Lovers』という曲だったようです。
そのお休み中に、もう歌を歌えないかもしれない、という可能性も考えつつ、インクの先を滲ませながらB5の紙に色々書いてみた結果、この曲ができて、
(B5の紙云々は詳しくは歌詞をみてみて)
つまり、 自分たちは今活動できないし、他のバンドやアーティストさんに色々浮気しても仕方ない、でもsumikaを忘れないで、最後の最後にはまたよろしくね。
・・・というメッセージもあるかもしれないなと思いました。
別にファンが他のアーティストさんに浮気する分には全く問題ないので、なんとなくこういう意味ならわかるなあ。
SumikaのLovers3つめの意味
それと、バンドのメンバー愛もあるかなと思って、
そう思ったのがここ
お願いそばにいて
僕の事を見ていてほしいのです
最後の最期に
あなた朽ち果てるまで
愛し抜いていきたいと思うのです。
活動休止の間、独りになることも多かったけど、バラバラになるどころか、逆に仲良くなってしまったらしいです、このバンドさんたち。(バンドさんって呼び方はどうなの)
「声が出なくなっても、何かの形で音楽は続けよう」ってボーカルは声が出なかったときにメンバーさんから言われたそうです。だから、その時の絶望感とありがたさと、音楽をやめられない気持ちと感謝の気持ちをこの辺りに綴ったのかな、と。
こういうインタビューがあります。
インタビューの『 Familia』というのはこれ。
このアルバム、オリコン5位になったようです。インディーズレーベルからのリリースで、大型タイアップ曲もないアルバムで。
このインタビューで、sumika(片岡健太)は結婚はしたことがないから選べる家族の大切さはわからないと思っていたけど、バンドメンバーとの関係性はそれに近いのではないか、
結婚は一人としかできないけど、それが複数いるということで、こんなに幸せなことはない、ということを言っています。
わたしはバンドメンバーが家族っていう感覚はバンドを経験したことがないからわからないけど、
バンドメンバーは複数いる、だからこの曲のタイトルは『Lovers』という複数形になっているのか、とここでもちょっと納得したのです。
だから、3つの意味、っていうより3つのLOVEですね。
今のSumikaのパワー
だから『Lovers』っていう曲は、sumikaというバンドメンバー、スタッフ、ファン、全てに対するラブソング、っていう感じがして、Sumikaというバンドの状況がすごく充実してパワーにあふれてる、それがなんとなく聴いてて、事情を知らなくても伝わってくる、だから「聴いていて元気になる」んだと思うんですね。
歌い方がほんとに嬉しそうで楽しそう。
ドリカムの「うれしい!たのしい!大好き!」を歌ってないのに、そういう雰囲気を感じます。(なんだその説明の仕方は)
それがよく表れてるのが『Lovers』で、浮気がどうこうという歌詞があっても、そんなことが気にならないくらいこの曲に人気がある理由なのかな、っていう気がします。
とりあえず一聴を
sumikaの曲は、ほぼ一個人の「僕」の目線で書かれていて、ある程度、状況・情景・人物像が想像しやすくなっています。
そういう意味で親近感が持てる感じ。
('90年代でいうと大江千里的な・・・わからないか)
逆にいうと、星野源と正反対の作詞方法です。
それから、このアルバムのラブソングとわかる曲は、どこかに煮え切らないところがあるんですけど、『Lovers』だけ覚悟ができて腹を括ってるんです。
(『アネモネ』も違う意味があると思う)
だから、この曲『Lovers』は、もしかしたら単純なラブソングではないかもね、って思っています。
ただ、歌詞を書いている人の一途さはなんとなく伝わります。
ロック好きもポップ好きも楽しめるこのアルバム、実は新曲は半分くらいなんです。
既存曲も半分くらいかな。だからはやくまた新曲つくってくれないかな。
今のパワーと熱量を維持したままで。
とりあえず、最近何かおすすめない?ってきかれたらこれ、ってこたえてます。