ミスチル[HANABI]と新曲[himawari]歌詞のモヤモヤポイント 金魚がモチーフって本当ですか(コードブルー主題歌)
ドラマの『コードブルー』(シーズン3)を見られるときは見ていました。
それで、主題歌がミスチルの声だなあと思っていて、歌詞で<もう一回 もう一回>って言ってるのが気になって。
でも耳なじみもあるような気がするし、新曲でもなさそうだし・・・と思って探してみたら自分のライブラリにありました。
(いちおうミスチルなんかもストックしていたりします)
ああ、これだ。ベスト盤に入っていたんです。だから過去の曲ですね。
この前の記事なんですけど
これ、もともとお蔵入りにさせていた記事でした。
ミスチルに詳しいダンカンたけしさんという方が、偶然、同じ曲を楽曲を曲方面から分析しつつ『Himawari』の歌詞でモヤモヤしていらしたので、モヤモヤ解消になればと思ってこういう解釈もありますよ的にお返事みたいな感じでポストしたものです。
それで逆に『HANABI』にはモヤモヤしないんですか、というわたしの問いに対してお返事をいただいて、『HANABI』の歌詞にモヤモヤポイントはない、ので逆に聞きたい、ということでしたので、これも、もともと書きかけていた記事にちょっと加筆しながら書いている記事です。
なので、ミスチルにモヤモヤしてもかまわない人だけ読んで下さい。
ミスチルでもやもやしたくない人は別なページをよろしくおねがいします。
あ、ダンカンたけしさんのブログにお伺いのコメントを書きに行ったときは、豪邸をピンポンするような気分です。
ミスチルの『HANABI』をふつうに聴いてみる
まず『HANABI』の話です。
ミスチルの『HANABI』をテレビから流れて来る程度にふつうに聴いていると、メロディーがきれいで、サビの<もう一回 もう一回>がちょっとクセになるなあ、気になる。
この曲、何がもう一回なのかなあ、これ新曲?っていう感じでした。
つまりテレビで流れてたらちょっと気になる歌 という感じです。
・・・実は新曲でもなんでもなく既に持っていたので、実際に歌詞をみながら聴いてみました。
歌詞で好きなところはこの辺でしょうか。
誰も皆 問題を抱えている
だけど素敵な明日を願っている
臆病風に吹かれて 波風がたった世界を
どれだけ愛することができるだろう?
もう一回 もう一回
もう一回 もう一回 ー『HANABI』Mr.children
救急救命とドクターヘリ、っていうドラマのテーマとも合っていますし、この辺を聴くと色々問題が起こったなあ、と、ドラマのシーンをあれこれ思い出したりもします。
あ、この場合の<もう一回>は、世界が良いようにみえなくても、もう一回素敵な明日を信じよう、というような意味になりそうです。
ミスチル『HANABI』のモヤモヤポイントその1
ですが、『HANABI』も、ほかのところを切り取ると、ラブソングになります。
こういう形式は意外とよくみかけるのですが、この中にモヤモヤポイントがかくれてます。
さよならが迎えに来ることを
最初からわかっていたとしたって
もう一回 もう一回
もう一回 もう一回
何度でも君に逢いたい
めぐり逢えたことでこんなに
世界が美しく見えるなんて
想像さえもしていない 単純だって笑うかい?
君に心からありがとうを言うよ ーHANABI
美しいですね。
ここの<もう一回>は、さっきの<もう一回>と違って「君に逢いたい」という意味に変わっていると思います。
ただ、「もう一回」よくみてください。ここを。
さよならが迎えに来ることを
最初からわかっていたとしたって
「さよなら」が迎えにくることが最初からわかっている、っていうことは、
「別れたくないけど、別れないといけないとわかっている(なので別れた)歌」
ということになりそうです。
新曲の『Himawari』『HANABI』は同じ匂いがする?
『HANABI』と『Himawari』の歌詞はとても似ている。2曲聴いてそう思いました。
しかも楽器が弾けるという目線で楽曲分析ができるダンカンたけしさんの記事によると、なんと、『HANABI』と『Himawari』は楽曲の作り(コード進行)も似ているとか?
つまり、『HANABI』にも、『君の膵臓をたべたい』に書いた新曲の『Himawari』と同じ匂いを感じてしまう、という感覚は、あながち間違いでもなさそうな気がしてきました。
まずは雰囲気から。新曲の『Himawari』の試聴をどうぞ。(ラジオかよ)
これがまあ、凝った曲で歌詞だったりするんですね。
歌詞はなかなか凝ってますし、曲調は落ち着いていて、イントロやバックできこえるぽろんっていう音が幻想的な雰囲気を感じさせるなと思います。
簡単にいうと高級な感じ。
今度は『Himawari』から改めて(モヤモヤポイント)を引用するとこんな感じです。
冒頭
優しさの死に化粧で
笑ってるように見せてる
君の覚悟が分かりすぎるから
僕はそっと手を振るだけ ー『Himawari』
「ありがとう」も「さよなら」も僕らにはもういらない
「全部嘘だよ」そう言って笑う君を
まだ期待してるから ー『Himawari』
これは、「別れたくないけど別れないといけない、だから別れる」
そのときの、「去られる側からみた心情 」
というふうに見えます。
ミスチル『HANABI』と『Himawari』モヤモヤポイントその2
今度はタイトルについて。ミスチルの曲のタイトル付けなのですが、日本語、英語、両方ありますが、あまり凝ったことはしなくて割とストレートにタイトルを付けている感じがします。
日本語タイトルの時は、日本語としてふつうに漢字とひらがなを使うことが多いようです。(『ニシエヒガシエ』『タガタメ』など例外もあり)
ただ、「日本語をローマ字表記」している曲、これはベストアルバム(1992-2015)の中では「花火」を『HANABI』と書いたこの曲のみです。
そして「花火」を『HANABI』と、「ひまわり」を『Himawari』と書いたこの曲との間には、日本語をあえてローマ字表記にしている、という共通点がある、ということに気がつきました。
そんな理由もあって、ミスチルの中で、この2曲は密かに同じグルーピングの曲として存在しているのかもしれない、っていう感覚を強めたのです。
次の問題は、この2曲のラブソングパートの中では、モチーフが同一なのか否かということになってきます。
そしてモヤモヤポイントを『Himawari』から引用します。
想い出の角砂糖を
涙が溶かしちゃわぬように
僕の命と共に尽きるように
ちょっとずつ舐めて生きるから ー『Himawari』
未練を感じるフレーズが並んでいるので、おそらくモチーフは同一、ということで良いのではないでしょうか、という前提でこの先の話をすすめますよ。
(しかも墓場まで持って行くつもりのようですね)
『HANABI』と『Himawari』の違いは?
『HANABI』と『Himawari』は似た匂いがする、という話でしたが、今度は違いについて見てみます。
まず、『HANABI』の歌詞には<もう一回 もう一回>というサビの歌詞にあるように、また逢えるんじゃないか、いや、もう一度逢いたいっていう強い期待と瞬発力を感じます。
ですが、『Himawari』では、歌詞では、<まだ期待している>というフレーズが出て来るものの、実際には期待というより諦めを感じます。
そして『HANABI』の歌詞にあるような<もう一回 もう一回>という期待は、時間とともに諦めに変わり、密かに心の内奥で熟成されていたもの(<想い出の角砂糖>)が、映画のストーリーに引っ張られて、それをきっかけに楽曲として表出してきたような感じ、っていう印象を受けるのです。
『HANABI』と『Himawari』は一つの時間軸で繋がっている?
つまり、この違いもまた、時間軸というもので繋がっているせいではないでしょうか。
『Himawari』の歌詞のラストにこういうフレーズがあります。
そんな君に僕は恋してた
そんな君を僕は ずっと
これは、歌詞もそうなのですが、歌い方もポイントです。
<恋してた>は、『君が好き』(Mr.Childred)的な歌い上げる歌い方ではなく、ひっそりと。
そして<ずっと>というフレーズが出てくるので、時間の経過を感じさせます。
つまり、表向きにはドラマや映画のタイアップという名目で、それを表現した曲でもあるのですが、個人としては、くすぶっていた感情を『コードブルー』の『HANABI』で表現し、時間を経て落ち着いた感情を、映画タイアップというきっかけを得て『himawari』という曲としてまた表現した、という可能性がある気がします。
歌詞もそうなのですが、そういう雰囲気は曲調にも感じています。(後述)
岡崎体育が『Explain』 しているように、『HANABI』には、サビ前にドラムでダダダダって盛り上げてるようなところがあるようにきこえます。
逆に『Himawari』にはそういうところがなくて、全体的に同じトーンで進んで行く気がします。
逆にいうと、サビがサビにきこえづらい、そういう曲の流れがあるみたいです。
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『HANABI』との違い『Himawari』は高橋幸宏さんの作る曲と似ている?
高橋幸宏さんは「僕、最近の30代40代の人が聴いてるJPOPっていうのがわからなくて」って発言をたまに聞くのですが、幸宏さんの作る曲の構成には、JPOP特有の目立つ「サビ」がない、あってもサビを目立たせることをしない、サビとサビ以外のパートを明確に区別していない、という作りが多いみたいなんです。
控えめというか、極端な盛り上げポイントを作らない感じがします。
良く言えば上品、反面、ヒットを狙えるような曲になることは稀です。(そもそも幸宏さん自身にヒット欲があまりないような気がします)
歌っている歌詞も、ソロのものは良く言えば「大人の純愛」的な感じがします。
『Himawari』 を聴いていてふと思い浮かんだのが、高橋幸宏さんがソロで出すときのそういうタイプの曲。(幸宏さんの曲は時期によって変わりますが、ある時期以降は根底にはそういう想いがあるように感じます)
どういう曲かわかりやすい例を出すとするなら、福山雅治の『桜坂』がそれにあたるみたいです。
「あの曲(『桜坂』)はユキヒロの曲に似てるよね」と同業ミュージシャンからよく言われたそうなのです。
なので、今回ミスチルはあえて「サビがはっきりしてるJPOP調ではない曲」にしたかった、という可能性もなきにしもあらず?なのかなあという気もします。
なぜかというと、テーマとして念頭にあるのが、個人の心情的にはひっそりしたものであり、映画の内容であり、かつ、それはかつての『HANABI』のように盛り上げポイントを作って高らかに歌い上げるものではない、と感じたのではないかな、と。
つまり心持ち的にそういうモードだった。
※幸宏さんとミスチルって「水と油」みたいな存在だと思っていたので、書き始めてから結びついて「ほえー」という感じ。
ちなみに高橋幸宏さんは知らない方のために補足しておきますと、元YMOで『ライディーン』を作曲したりドラムを担当していたダンディーなおじさまで、最近ではMETAFIVEっていうバンドをやっています。
(謙虚な方ですが、スゴい人ですよ。面白いし。)
METAFIVEのキャッチコピーは「平均年齢47歳の新人バンド」(今はもうもっと年齢上がってるかも)
バンドでの曲はこんな感じです。(ロックですよ)
もう一曲
こんな感じ。
全員は知らなくてもこの中の誰かのことは知っているのではないか、というテクノおじさんが結集という感じですが、曲はテクノって感じはそれほどしないと思います。
そして、JPOP(この場合は平成歌謡)って感じはもっとしない。
ロックだとは思うのですが、邦ロック、っていう感じもあまりしないのではないでしょうか。
でも日本のロックです。
『HANABI』のモチーフは「金魚」?
ミスチルに話を戻しましょう。『HANABI』と新曲『Himawari』にはどちらも「君」が出て来るのですが、どちらも似たような明るくてピュアで屈託のない女の子のイメージが浮かぶんです。浮かびませんか。
わたしのイメージはそういう感じでした。だから、同じ人がモチーフなんだろうな、と思っていました。
ところがどっこい、ミスチル(桜井さん)本人の弁によると、『HANABI』は飼っていた「金魚」がモチーフだそうです。
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桜井が飼っている金魚のエピソードがこの曲を作らせるインスピレーションになったと、2015年に行われたライブツアーのMCで語った。
金魚の命は確かに短いかもですが、そんなに幸せに思わせてくれたり、もう一回もう一回、と「逢いたい」と思ってしまう「金魚」・・・ですか。他の金魚じゃダメなんですね。
いったい、リスナーはこの曲を聴いてどんな金魚のエピソードを想像したら良いというのでしょうか。
そんな話をするならタイトルはもう『KINGYO』がよくないですか、ストレートに。
その方が納得できます。
少なくとも飼ってた金魚のエピソードというコメントの方にモヤモヤする・・。
それに、金魚というなら、『HANABI』より『Himawari』の曲調の方がむしろ「金魚っぽい」と思いました。
個人的な感想ですが、『Himawari』という「曲」から受ける印象では、水の中をひらひらと泳ぐ魚のイメージが想像できるんです。歌詞に「ことば」として登場するのは「ひまわり」なのにもかかわらず。
だから、エピソードに金魚が出てきた時点で、『Himawari』という曲に感じる「水中感」が「金魚」と結びついてしまって、『HANABI』も『Himawari』と歌詞に忍ばせたモチーフが同じかな、って感覚が、再燃してしまいました。
なので、もしこちらも金魚がモチーフだとしたら、歌詞の世界観と、曲の雰囲気とは非常によくリンクしていると思います。タイトルに選んだひまわりよりも。
コードブルー主題歌はずっとHANABI
『コードブルー』はドラマをずっと追っていた訳ではなかったので、知らなかったのですが、主題歌は、『コードブルー』シリーズ2008年の最初のシーズンから、ずっとこの曲(『HANABI』)で変更がないんですね。
聴いたことがあるような気がしたのは、「ミスチル節」のせいではなかったのかもしれません。
『HANABI』と『Himawari』モヤモヤポイントその3
『コードブルー』の主題歌は、シリーズ2008年の最初のシーズンから、ずっとこの(『HANABI』)で変更がない、つまり、10年近く前の作品です。
新曲『Himawari』は2017年夏です。
しかも「金魚」発言は、2015年という、だいぶ時間が経ってからそれを言う。
つまり、ミスチルはここ10年ほど「金魚」を引きずっている可能性がある。
ということです。
ただ、こういった思いを抱えている中年男性、というのは意外と少なくなかったりするような気がします。(ちょっとまわりの人を観察してみたりお話をきいてみたりしてくだされば。)
・・・わたしの『HANABI』と『Himawari』のモヤモヤポイントはこんな感じです。
途中から金魚になってしまいましたが、ファンなら、「金魚」という説明で納得できてしまうものなのかなあ。
ダンカンたけしさんはじめミスチルファンのみなさん気分を害されたら申し訳ないです。
ひとつだけ強調しておくとミスチルの『HANABI』好きです。
『Himawari』味わいがあります。
(イントロの水中感が好き)
結局ドラマの『コードブルー』はどうだったのか
ドラマの『コードブルー』の方は、医者がこんなに皆美形でいいのだろうか、救命チームが全体的に若過ぎるんじゃないのかな、(ガッキー、戸田恵梨香、山P、成田凌、看護師に比嘉愛未・・・年長ドクターがほとんど出番がない)っていうのが最初ちょっと気になっちゃったけど、慣れてきたら結構面白かったです。
戸田恵梨香はよかったけど、クールなガッキーって素に見えちゃう。
成田凌は非イケメンに化けてました。
もうこの記事ミスチルの話になっちゃったから『コードブルー』はキャストの話だけになってしまった。
あまり聴いてなかったから気づかなかったです『HANABI』。
ありがとう、『コードブルー』。シーズン4もあるのかな。
そしてダンカンたけしさん、ミスチルをじっくり聴く機会をくださってありがとうございました。
そして頭の中を「もう一回」がこだまする。