小田和正100年インタビュー(NHKBS)とベストアルバム「あの日あの時」
えーと、8月の話ですが、小田和正さんがインタビューを受けるという珍しい番組をやっていたので、夜中なのに見てしまいました。
(なんとなく始まったので1時間くらいかと思ってみはじめたらこんなに長いと思ってなかった。日付またいで夜中2時までとか・・・しかもNHKだからCMないし、立てない)
この人もめちゃくちゃ声が良いんですよね。
それで年をとっても声を保ってるのが凄いです。
細野晴臣さんが70歳だってきいて驚いたんですけど、小田和正も今度70歳になるみたい。
そして今の音楽番組ではお目にかかれない。
細野さんは低い声が良い人だけど、小田和正は高音が凄い出る人です。
普通の女の人の声域まで普通に出せるらしくて、それが年とっても下がらない、っていうか、ちょっと無理はしてるみたいだけど、できるだけ原キーのままで歌ってるみたい?
お客さんはそれを期待しているから、キー下げなきゃいけなくなったら期待に応えられないことだから引退するって言ってました。
コンサートもまだ精力的にやっていて、会場内をかなりお客さんの中まで入っていって走りながら歌う。
もう歌うアスリートみたい。
それから日本一全身白い服が似合う70歳ではないかと。
細野さんのコンサートはほぼ座ってるし(その代わり?曲ごとにギターを交換して演奏している)、ゲストが歌ってる間休憩してるっぽいし、もう、一人じゃなんにもできない、とか言ってどことなくおじいちゃんキャラになってるから好対照・・・。
小田和正さんのインタビューを聞いていたら地声が意外と低くて、しわがれてる感じがしたんですが、歌うと未だにめっちゃきれいな声が出ます。そこが不思議。
それから、歌ってる内容から、すごく繊細で傷つきやすそうな人、ってイメージだったのですが、インタビューの感じはその反対な印象でした。
それも不思議。
聴いたことない人もいるかなと思って動画を探してみたのですが、youtubeには 小田和正の公式チャンネルみたいなのはなくて、カバーとか歌ってみた系はあるんですが、本人が歌ってる数少ない動画。
ソニーさん再生できないっす。
歌ってみた系の人でもうまくて似てるなと思ったのがこの人。
Cover 弾き語り- 小田和正woh woh -(アコースティック).wmv
小田和正の歌で一番有名なのはこの曲かな。
この短冊シングル持ってました。
その時でもう40代半ばだったと思います。
めっちゃ若々しい歌で声のおじさんだなって思ってたっけ。
今の若い人がスピッツを見るとそんな感じに思うのかな・・・
この曲は「東京ラブストーリー」っていうドラマの主題歌で、270万枚売れたお化けみたいな曲。
知らない人は、今でいうとドラマの「逃げ恥」の相乗効果で星野源の「恋」が流行した、そういう感じの曲っていったらわかりやすいかな。
それで、シングル見るとわかると思いますが、「ラブ・ストーリーは突然に」の方がカップリング曲なんです。
「Oh!Yeah」の方がA面。
本人歌唱の動画もう一つ
オフコース「愛を止めないで」(フジテレビ系 日9ドラマ『OUR HOUSE』主題歌)
オフコースの時の曲です。
番組ではオフコース時代から現在までの小田和正の曲を紹介しながら話を聞いていたので、オフコース時代から現在までのベストアルバムが出て、その中にみんな入ってるので、紹介します。
ただ、ベストアルバムなのですが、リマスターではなくて、新録みたいです。
ライブ音源みたいなものもあります。
(その辺山下達郎さんと考えが違うみたい。)
なので、当時の音をそのまま聴きたい人には向かないけど、初めて聴きます、っていう人には良い入門編。
このアルバムのコーラスは、オフコース時代の曲がオフコースの特徴だったハーモニー、っていうより小田和正with合唱団、っていう感じになってる曲がいくつかあります。
じゃあオフコースってどんなだったの?っていうと、オフコースはオフコースでベストが出ています。
OFF COURSE BEST "ever" EMI Years
- アーティスト: オフコース
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・オフコースの方が音がロック
・小田和正の声が小さいor細い
・オフコースは曲の感じが暗め
小田和正ベストにはオフコース時代の曲も多いのですが、曲が今の感じにアレンジされているのと、ロックよりポップス寄りになっています。
ただコーラスのハモりはオフコースの方が好きかもしれない・・・。
これ、声が今よりやっぱり高くて、少年合唱みたいなんですけど、フルで聴いたら鳥肌立ちました。↓
オフコース時代の声は高いけど細くて、その時より今の方が声が出るようになってるような気さえします。
売れなかった時代
オフコースって、有名なグループ、っていう印象しかなかったので、最初はかなり長い間売れなかった、って話をきいてびっくりしました。
最初は2人組でフォークデュオだったとか。
「かぐや姫」の前座で出て、お客さんから「帰れ」って声が結構飛んで来る。「次が最後の曲です」って言ったら、やっと拍手が起きて、「ああ、これは親には見せられない」って思ったそうです。
小田和正は東北大の建築学科に行って、在学中にオフコースがデビューしたけど、音楽か建築かどっちに進むか決められなくて、修士で早稲田に行ってまだ悩んで、ぎりぎり5年いて、修士論文を提出した。
そのタイトルが「建築との決別」。
そんな論文はかなりの問題作だわ。
(←やっぱり論文審査の時に教授に題名を「私的建築論」に直されたらしいです。大学院修了したようなので、一応この論文、通ったみたい。)
進路も「建築とは離れられるけど、音楽とは離れられないな」という消去法で決めたそうです。
修士5年いたっていうことは、デビュー後最低でも5年は音楽で売れてなかったことになるのではないでしょうか。
「さよなら」で初ヒット
その後もしばらく売れなくて、「さよなら」でやっとヒットした。
と思ったら大ヒットしました。
でも、作っているときから、「これは日本人の好きそうなマイナー(コード)だな」っていう感じがしていて、歌詞も別な歌詞を書き上げてたのですが、スタジオに入ってからサビの「タタタタ」ってところに「さよなら」って言葉をあてたらいいんじゃないか、って思いついて書き直してもいいですか?って頼んで書き直したそうです。
(たぶんスタジオキャンセル・・・)
でもこの曲は売れ線を狙って、実際初めて売れたので、この曲がオフコースの代名詞になってしまったけど、本意ではなかったそうです。
「さよなら」がヒットした次にどんな曲を出したかというとこれ。
君よ 愛するひとを 守り給え
大きく手を拡げて
子供たちを抱き給え
ひとり またひとり 友は集まるだろう
レコード会社側は二匹目のドジョウを狙ってほしかった、けど、小田和正は、それはないな、と思っていたのと、ほんとに作りたいのはこれじゃない感があったので、注目されている今がチャンスと思ってほんとに言いたいことを言った曲だそう。
(割と反抗的)
暗に戦争を反省してるのかな、というフレーズがあるのがフォーク的なのですが、不思議なことに、ある意味すごく「今の時代」っぽさもある歌。
つまり、世の中、表面的には随分変わっているようで、実はずっと前から何も変わってないのかも、って思ってしまいます。
それから、オフコースで「さよなら」って曲を出してるけど、その後で「さよならは言わない」って曲も出しています。
悲しみは やがて 消えることを 知った
喜びは いつまでも
輝き続けることも
戦い続けた わけじゃない 流されて来たとも 思わない
追いかけた 夢の いくつかは 今 この手の中にある
「さよなら」は失恋だけど、「さよならは、言わない」はオフコース時代の仲間のことを歌ってるのかな?
っていう気がするけど、よく思い起こせば、誰にでも思い当たることがありそうな普遍性もあると思います。
オフコース解散まで
オフコースの解散までの話は、
まず鈴木さんという初期メンバーがいました。
この人が抜けることになって、それなら自分はもう音楽はやめるんだろうと当時は思っていたとか。
オフコースは結局一人抜けた4人で活動を続けることになるんだけど(たぶん大人の事情)、ソロ活動も始めて、ほどなく解散。
再結成については、「そういうのはしないほうがいいんです」ってはっきり言っていたのが印象的です。
オフコース時代の曲だとこれも好き。
これは、こういう歌詞です。
好きな人はいるの こたえたくないなら
きこえないふりを すればいい
君を抱いていいの 心は今 何処にあるの
君を抱いていいの 好きになってもいいの
この人の歌詞はすごく簡単で単純な言葉が多いんだけど、響くんです。
この曲なんか、「言葉にできない」っていって、言葉や歌詞の無力さを歌っていると思います。
こころ 哀しくて 言葉にできない
la la la…… 言葉にできない
誰れのせいでもない
自分がちいさすぎるから
それが くやしくて 言葉にできない
la la la…… 言葉にできない
あなたに会えて ほんとうによかった
嬉しくて 嬉しくて 言葉にできない
歌唱では歌詞にないウーウーウーとか言葉にならない言葉が多くて、まさに言葉にならないところを聴く歌じゃないかなと思います。
最後はあなたにあえて嬉しくて言葉にならない、って歌っているんですが、冒頭の歌詞はこうなんです。
終わる筈のない愛が途絶えた いのち尽きてゆくように
ちがう きっとちがう 心が叫んでる
終わるはずのない愛が終わってしまって、ちがう、きっとちがう、って心が叫んでいる。
最初は、哀しさでことばにならないけど、最後は出会えたことを嬉しくて言葉にならない、って歌っています。
charaのアルバム
Sympathyについて少し書いたけど、charaのこのアルバムのテーマって、この曲が端的に表しているような気がします。
ソロデビューと「ラブ・ストーリーは突然に」
オフコースが解散になって、まもなくこれが超大ヒットします。
あの日 あの時 あの場所で 君に会えなかったら
僕等は いつまでも 見知らぬ二人のまま
誰れかが甘く誘う言葉に もう心揺れたりしないで
切ないけど そんなふうに 心は縛れない
もうイントロの「テケテーン」だけで持ってかれる。
耳の記憶力ってすごいな。
この曲に関しては「ご褒美が早く来すぎた」と。
この曲はドラマに曲を書いて下さい、っていう話がきて、1曲ストックがあったのでそれを渡したら、
「Yes No」の延長線上みたいなのが良かったんですが、これでもいいです、って言われて、
なんだ、そうなの?じゃあ新しく書くよ、っていってアイデアが一つあったので(三連符のことかな)それで書いたっていう話をしていました。
これは生命保険のCMに書いた曲で、流れてる期間も長いので、聞いたことあると思います。
時を越えて君を愛せるか ほんとうに君を守れるか
空を見て考えてた 君のために 今何ができるか
この辺からラブソングじゃない歌が多くなります。
番組で紹介されていなかったけど、これもいいです。
ゆらゆらゆら 心は揺れる キラキラキラ 時はかがやいてる
いま もういちど約束する 決して 君のことを裏切らない
遠くに見える その夢を まだあきらめないで
かならず そこまで 連れて行くから
これAメロで、サビじゃないけど、イントロとここが好き。
ほんとに音がきらきら、で朝陽を浴びてるような気分を呼び起こす感じ。
あと映画を作った話とかも面白かったですけどちょっと省略します。
この人の歌はすごくやさしくて平易で普遍的なんですよね。
難しい言葉は一切使わないで、難しそうな感じはひらがなにして歌詞を書いていて
ささやかなことに喜びを見いだすことが上手な人のような気がします。
それと、割とリスナーに問いかける歌、励ましてくれる歌が多いので、小田和正を聴いていると、声に癒されるし、ささやかなことに気づけているか、ということにふと気づくきっかけになったりします。
心洗われたいときにどうぞ。