mirayeeh!:音と歌詞

見たもの、聞いたもの、考えたこと。音楽の話。

Cornelius「Mellow Waves」は歌詞を聴け。4(コーネリアス聴いて泣けた話)

お題「最近涙したこと」

Mellow Waves

Corneliusコーネリアス)「Mellow Waves」は歌詞を聴け。からむしろ、コーネリアス聴いて泣いた話、になりそうな今回です。

で、途中であまり話切りたくないので、ちょっと長いです。

あと、すごくデリケートな話でもあるので、どこまで書いていいか迷う。

  

後半で超重要な08.

The Spell of a Vanishing Loveliness

の意味を解説していきます。

でもこれ実はポップスじゃなくて演歌みたいだよ、ってことを書いて前回話が終わってたと思います。
じゃあここで全貌を解明しようじゃないか、という記事です。

 

ちょっと聴こう。

08.

The Spell of a Vanishing Loveliness

 

最初だけ電子音響。前の曲とのつながり意識してるのかなって思います。

なので、このMellow Wavesも、一聴すると、一曲一曲が独立しているような気がしますが、実は繋がっている。

そういう意味で、これまでのスタイルは外してない、と個人的には思っています。


あとはアコースティックな歌もの、ポップなコーネリアス好きな人は好きでしょう。

一緒に歌ってるMiki Berenyi(ミキ・ベレーニ)はLUSHというイギリスのロックバンド歌手で、小山田圭吾の遠い親戚です。作詞も彼女に頼んだようです。


ちょっとデュエットみたいになってるけど、デュエットではなくて、途中から小山田が同じ歌詞を一緒に歌ってる(重ねてる)みたい。

 

歌詞の意味をざっくり和訳


私にはパーフェクトな子供がいる。とっても大切な子。
でも私の内に秘めた想いはこの子には絶対に言えない。


それだけじゃまだ満たされない。


すてきな女の子、彼女の愛がわたしの心の痛みを全て取り去ってくれる。


完璧な男、私は彼に自分のすべてを捧げる。


彩りに満ちた人生、子供、それが今の私の全て。
でもそれだけじゃまだ満たされない


わたしには今友達が足りない、一人の友達が

 

・・・って歌っています。
若干意味不明だけど、そういう風に書かれてるので仕方ないです。


英語も単語はむずかしくないですよ。

ただ、意味を取るのが難しいみたい。

(ピッチフォークはストレートなラブソングだと言ってる)

 

タイトルの「The Spell of a Vanishing Loveliness」を日本語にするなら

「消えた恋人の呪縛」

ちょっと怖いか。


「消えてしまった可愛いひとに送る呪文・おまじない」くらいにしておいたほうがポップかな。


で、この「消えた可愛いひと」って誰、ってことなんだけど

曲が転調した後の最後のフレーズだけ引用しつつちょっと解説します。

That was yesterday
Time to walk away
Goodbye innocence

対訳
それは昨日のことのように感じられる。
歩き出す時
さよならイノセンス

 (That とTime、yesterdayとawayで韻を踏んでます)

 

まだちょっと意味不明ですか?

これならどうでしょうか。

 

イノセンス、無邪気さにさよならして一歩を踏み出したあの時が、まるで昨日のように感じられる。

 

ここでピンと来る人と来ない人に分かれそう。

 

「Goodbye innocence」っていうフレーズでは、フリッパーズギター

特にの「ヘッド博士の世界塔」をどうしても思い出してしまう。
あのアルバムがまさに、そういうテーマだったから。


(一般的にどう思われてるのかわからないけど、わたしはそういうアルバムだと思っています。)

 

Now I need a friend
I have many friends
This is how it ends

(ここでタンバリンがしゃらしゃら鳴るのが妙にかわいい)

 

今、一人の友達が足りない。
友達はたくさんいるけど、一人の友達が切実に必要。
そうでなきゃ終われない。

(ここもfriend, friends, ends, で韻を踏んでますね) 

 

・・・ここの歌詞とかすごく意味深です。
「The sweetest child〜」っていうところは歌ってないけど、ここのところちゃんとコーネリアス自分で歌ってるし。

 

この曲単体でみれば、 how it ends は歌詞の中では still not enough 欠乏感 が終わるための方法、という意味です。


02.「いつか/どこか」では終わり、を歌っているけど、ここで「This is how it ends」って出て来る。
これが終われる方法、と歌っているんです。つまりそうでなきゃ終われない。

 


つまり、消えてしまった可愛い人、その人といつか、死ぬまでには仲直りしたい。そうでなきゃ死んでも死に切れない。

 

もうポップじゃなくて演歌の世界じゃないか。

 

もちろん、作詞したミキさんが、昔すれ違っちゃった女ともだちとまた仲直りしたい、って曲だ、と思ってもいいです。

そこで、自分で書いたら照れくさくて歌えないものは人に書いてもらう、って言ってる小山田圭吾ですから。

 

しかも日本語じゃなく英語にするから、小山田がこの曲を聴いて欲しい人にはわかるけど、一般的なリスナーは雰囲気聴いて「いいな」で終わると思う。

 

 一種のギミック(仕掛け)だと思うのですが、

この曲は、男女両方が歌ってて、歌詞も男女両方の視点で書かれてる。

 

ここは男目線(ノーマルな場合です。)

The sweetest girl Her love will take away my hurt

 

ここは女目線(ノーマルな場合です。)

The perfect man I give him everything I can

 

それを男女両方が歌う。

その結果どうなるかというと、ここのパートは男女両方の視点が混ざっちゃう。

つまり、ノーマルな男女の愛でない他の意味も出てきちゃうんです。

ただし、比重は違っていて、ミキさんの声が全面に出てて、小山田の声はバックグラウンドになってる。

そういうとこ凝ってるなと思います。

 

で、各パートの解説。

The sweetest girl 〜

このパートは幸せそうです。彼女の愛が心の傷を溶かしてくれて、彼女の思想、彼女の言葉は、世界の途中まで連れて行ってくれる。

 

ただし、halfway round the world 、世界の途中(半分)まで、っていうのが不思議なんです。

普通だったら、round the world でいいと思うんです。なんで半分までなの?って

それと、言葉、思想が世界に連れてってくれる、っていうのが、どっちかというと男っぽい。

 

The perfect man 〜

このパートは、幸せなのか微妙です。

「The perfect man」に、自分のできる全てを捧げると言ってる。

なのに、彼から愛を受けていないみたいで、相思相愛とは書かれてない。

今あるのは、(充実した)人生と、かわいい子供、それが今の私の全て。

なのに、「The perfect man」に全てを捧げる。

 

これってどうでしょう。片思いですよね。

 

そして、
友達はたくさんいる。でもそれだけでは満たされない、欲しいのは、足りないのは、ある一人の友達なんだ、と歌っています。

 

タイトルの「Vanishing Loveliness(消えてしまった可愛い人)」は、女性のように見えて、「The perfect man」かなって思うんです。

 

「The Spell of a Vanishing Loveliness(消えてしまった可愛い人に送る呪文)」ってタイトルの意味を考えると

かけがえのない「a friend」であった「The perfect man」に向けて、復縁できますように、っていう念を送ってる歌、っていうことになるのではないかと。

 

「perfect man」には「The」が付いてます。代替不可能な誰かなんです。

しかも「perfect man」って最大級の褒め言葉です。

 

そして「I give him everything I can」つまり彼(と仲直りするため)に全身全霊をかけてもいい、といっています。

 


だから、「だあんすふろああにいいっ」ってふざけて「愛100%」を表現していた小山田はここにはもういない。

piria.hatenablog.com

 

「Vanishing Loveliness(ヴァニシング ラブリネス・消えてしまった可愛い人)」であり、どうしてもいないと困る「a friend」であり、「The perfect man(完璧な男)」が誰か、っていうのははご想像にお任せします。

 (誰でもわかるって)

 

このアルバム聴いてたら、ずっと会ってない学生時代の仲良かった子との思い出とか思い出してなんかすごく会いたくなった。
まさかのコーネリアス聴いて泣きそうになる、っていう。(笑)

 

そういう友達いるかも、っていう人は、この08.「The Spell of a Vanishing Loveliness」きいて歌詞読んでみてほしいです。

まじで泣けると思う。わたしはこれ聴いて歌詞読んでからずっーとじんわりきてる。

 

社会人になる前、時間と価値観を共有したともだちって、やっぱり特別です。

若い頃そういわれてもわからなかった。こればっかりは時間が経ってみないとわからない。だから年取るのもわるくないなって思います。

 

なおかつ、「The sweetest girl 」も、同一人物じゃないかな、と思うんです。

「The sweetest girl 」が持っている「言葉、思想」ってワードにも現在の「The perfect man」で想像できる誰かに通じるものがあるし、05「夢の中で」で世界のことを考えてるのも「The sweetest girl 」の思想の影響。

だから、この曲には男女を超えた愛、っていうのをちょっと感じるんですよね。

 

この曲の中で主人公は大事な人を3つあげています。

「The perfect child(The sweetest child)」「The sweetest girl 」「The perfect man」

今いるのは「The perfect child」。

足りないのは

「a friend」=(「The perfect man」+「The sweetest girl 」)

ということ。

(わかるかな)

 

(実はThe perfect childとThe sweetest childも別な意味かなと思ってるんだけど、ここでは省略、ただここも意味があると思うのでそれを後で書きます。)

 

だけど、それはちょっと置いておいて、相手のことを考えて、せめて友達に戻りたい。

 バックで控えめに歌う小山田の声聴いててそんな感じがする。

 

だから余計せつないんです。

 

(あの人、若いとき一人でヨーロッパかどこか旅行した時、現地の人(男)と意気投合して、家にこないか、って言われて行ったら、迫られちゃってこれはやばいって急いで逃げ出したことがある、ってどっかで話してた記憶がある。だから完全にノーマル。)

 

 

 

この曲、歌詞の内容は小山田圭吾の半生です。

離婚して子供引き取って、子供すごくかわいがってるし。

(離婚して男親が子供を引き取るケースは珍しいです。その子がD.A.N.のMVにキャストで出てるからその話あとで書く)

坂本慎太郎とはツーカーの仲で、METAFIVEやらプラスティック・オノ・バンドやら仲間はいっぱいいる。

イノセンスにさよならして歩き出した(フリッパーズギター解散)

その時のことが昨日のように鮮明に思い出される。

心の傷を溶かしてくれて思想と言葉で世界の半分まで連れてってくれた。

そんな大事な友達を失って、いくら仕事が充実してても、子供がかわいくても、埋めたくても埋められない空白がある。

これを埋められないと人生終われない。

 

 

ぼくりりの「Be Noble 」状態ですよ。

 (埋まらない空白を埋めるために来たのに)
 

Be Noble

Be Noble

 (これを聴くと、この曲を歌ってる小山田の心境がわかる。 )

 

そんな歌を、「中年も深まったな」っていう小山田がひっそり歌う。

 

これに泣かなくて何に泣けるっていうの。

 

 

 

 ちょっと余韻にひたりたい。

 

 あとピッチフォークが

Mellow Wavesに点数とレビュー付けてきたから後で紹介します。

Mellow Waves

Mellow Waves