Suchmos,YONCEと小沢健二の音楽の先
Suchmosと小沢健二、っていうと、相当不思議な組み合わせのタイトルに見えるかもしれません。
音楽家として目指してるものは、それぞれ違う方を向いていると思います。
でも世の中に対するアプローチという面ではすごく似たものを持ってるようなのです。この二人。
小沢健二の「流動体」とぼくりりの「ノアズアーク」は相互に補完する関係、ということを書いたと思います。
今回は、小沢健二とSuchmosも、実は目指してるところが同じかもしれない、という話です。
意外でしょうか? でもたぶんそう。
といっても、世界観・思想性の話。
「流動体について」のような世界観・思想を持ってるのって小沢健二だけではないんです。
(坂本龍一も多くは語らないけどそうだと思う。ぼくりりも理解が未熟ながらもそういうものを目指してはいると思う)
SuchmosのYONCEもその一人だと思います。
これまでぼくりり中心に話をしてきたけど、パーフリ時代の小沢健二とぼくりりは並列に語ってもいいけど、ぼくりりと今の小沢健二を並列に語ることはできない。
ただ、Suchmosと小沢健二は、並列で語ってもいいんじゃないかなと思います。
その理由を今から書くんですけど、
YONCEが、今年のインタビューで、こんなことを言ってました。
「みんなで一緒にハッピーになるのは無理。でもそうなる流れは感じる、今は波乱が起きそうな状態だけど、何かの反動で一気に変わる気がすると俺は思ってる」
この記事だとSuchmosはもっとビッグになるのを目指してるよ、っていう内容なんだけど、上の発言はその中で出てきたもの。
つまり、YONCEの言ってる「波乱」と「何かの反動で一気に変わる」って、ぼくりりが「ノアズアーク」で描いてる、大洪水による人類の滅亡と救済と同じこと。
逆に言うと、YONCEのこの発言って、ぼくりりが「ノアズアーク」で人類を滅亡させる大洪水=情報の氾濫、って物事を矮小化してるのに対して、
これはもっと大きい問題で、もうすぐそれが起こるよ、ってさらっと言っちゃってる。
それは、小沢健二が、「流動体」を出しても、メッセージは何か、って訊かれると濁してしまう部分をはっきり言っているとも言える。
これはさらっと言ってるだけじゃなくて、ちゃんと曲という形で出してもいるんです。
YONCEのこの発言の意図が一番ストレートに出てる曲が今のところ「arlight」/「THE BAY」だと思います。
このインタビューが今年だったから「THE KIDS」の方に入ってるかと思ったら「THE BAY」の方でした。
だから、小沢健二の「流動体」やぼくりりの「ノアズアーク」が出るより前にSuchmosのこの曲はできているんです。
Suchmosは今は割とファッションとして受けているところがあって、思想性を前に出すことがあまりないから、こういう面は今は目立たないけど、「STAY TUNE」とかで単に都会や大人に皮肉を言ってるわけではなくて、思想的なバックグラウンドとしてこういうものを持っているんだな、と。
このインタビュー読む前はこの曲そんなに好きなわけじゃなかったんですけど、(首落とせとかミサイル落とせとか過激だし)この発言聞いてこの曲のほんとの意味も色々わかったこともありました。
それから、小沢健二やぼくりりは、多分ノアの方舟の現代的再解釈を「知識」として知ってると思うんだけど、
YONCEの場合、直感でそう思ってるんだろうなって感じます。
知識として知ってても、ホントにそうなるかな?って思うのが普通です。
でも小沢健二は多分それを信じてるから「流動体について」を出したし、YONCEもそれを信じてる、と、はっきり言っている。
(ただYONCEは、誰かがこれはおいしい、って言ったものはみんなおいしいと思っちゃうみたいなんですが)
それがここまで同時多発的に出て来ると
「これはもう、これはもう・・・・!(BGM (星野源_恋)」by津崎平匡
ごめんなさい、「逃げ恥」リピートし過ぎた。
(あ、後で「逃げるは恥だが役に立つ」のサントラの話も書こう。)
そういう意味で、この中で一番「勇者」なのはSuchmosなんじゃないか、と思っています。
だから、Suchmosをファッションで受けてる、かっこいい音楽作ってる兄ちゃんたちだと思ってたら、ちょっと違う、中身は、っていう。
普通にかっこいい音楽をBGMとして欲しい人はNulbarichの「Guess Who?」とか聴いてたほうがいいですよ。
Suchmosだと多分耳が痛くなっちゃうから。
代表選手。
正直Suchmosよりこっちのが洗練されてて、棘も毒もないから聴きやすい。
今年出た「kids」なんか音はかっこいいけどリリックは大人は耳痛いでしょう。「bay」はそうでもないけど。
最初にぼくりりテーマにしちゃったから、ちょいちょい出したSuchmosの曲ちゃんと解説してなくて申し訳ない。
(というかぼくりりはラップなので言葉数が多くなってるせいで解読されやすい、逆にSuchmosは言葉重視してないから、単語が並んでるだけで意味がないことも多いのと、JPOPみたいに1番、2番、3番みたいに歌詞を作らないので余計説明しづらい。ceroも同様。)
この曲「arlight」は一度ちゃんと解説します。(人気曲なわけではないから需要があるかはわからない)
割と謎曲でもある「GAGA」にも似たようなメッセージがありそうだな、と思っています。
「arlight」は作詞YONCEで「GAGA」は作詞HSUなんです。
「arlight」と「GAGA」の違いをみていくと、Suchmosの中でも、世の中に対するものの見方としてはYONCEとHSUでもちょっと温度差があるな、というのも見えてきます。
これも後で両方歌詞解説します。
あとSuchmosが今週のAERAの表紙になってるね。YONCEのインタビューも載ってるみたいだから何しゃべってるのかちょっと読んでみる。
何か面白いこと言ってたら書きます。
Suchmosって、4月から新レーベル設立、ってアナウンスあって、公式アナウンス見てもどういうことなのかよくわからないです。
新レーベルって言ってもそこがソニーミュージックの傘下みたいなんだけど、だとすると特別待遇(?)でメジャー移籍、って読める。
だとすると色々話が変わって来るなと。やれることが増えるけど、出来ないことも出て来ると思う。「消費されたくない」って言ってたけど、消費される可能性も高まる。
新しい曲も新レーベル(F.C.L.S.)から出すみたいで、なんだかかっこよさげなライナーノーツ(文章)がついていた(しかし意味はよくわからない)
(F.C.L.S.は、FIRST CHOICE LAST STANCEの略みたい。それがそのままこのシングルのタイトルになっている。曲名とは別。)
出版社/メーカーがSPACE SHOWER MUSICからKREに変わっています。
ちなみにMVならぬ、ショートフィルムが公開されていた。
14分くらいあるから長いですよ。時間あるときどうぞ。
Suchmos NEW LABEL "F.C.L.S." SHORT FILM
この動画、街中にSuchmosのロゴをスプレーしちゃうんだけど、
この動画に出て来るSuchmosのロゴがスプレーできるシートがCDの初回限定版についてるから、これで街中サチモスだらけにしてくれ、ってことなのかな。
良識ある皆さんは壁に落書きみたいなことはやめて、プリントするのは自分の持ち物だけにしましょうね。
だいぶ話ずれた。F.C.L.S.の正体がよくわからないから何とも言えない面があるけど、これからSuchmosがどう変わるのかちょっと予測してみよう。