ぼくりり「shadow」とスピッツ「ホタル」歌詞世界の類似
ぼくりりの「shadow」の歌詞解説を以前ここでしました。
たまたま聞いてたスピッツの「ホタル」と歌詞の世界とモチーフがちょっと似てるかもと思った。
(スピッツ気持ちいいね。ちなみに聴いてるのこれ
CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection)
「ホタル」は出だしがいきなりサビです。
時を止めて君の笑顔が
って草野マサムネがあの高音で歌うとこが切な気持ちいいんだけど、
中身こういう歌だと思ってなかった・・・。
(・・・なんでサビがはいってないんだ!! JPOPだからって真ん中にサビがくるとは限らないんだ!)
甘い言葉耳に溶かして
僕のすべてを汚してほしい
正しいものはこれじゃなくても
忘れたくない 鮮やかで短い幻
ホタル/スピッツ
・・(私が勝手に思ってた)草野マサムネのイメージじゃない。(驚)
(勝手に草食で少年っぽいイメージ。名前に草が入ってるから?)
ここも、正しくないことをしてること
それは幻だとわかっていること、
でもその幻を大事なものだと思っているところがスピッツ、ぼくりりとも同じ。
ここも同じ
僕のすべてを汚してほしい
スピッツ・ホタル
真っ黒に淀んだこの体
ぼくりり/shadow
(これはサビ入り)
でも、ぼくりりの「shadow」の方が、描写が具体的で、スピッツの「ホタル」はふんわりファンタジーで終わってる。
だから、なんとなく「切ない歌だなあ」って思って聴いてた。
shadowの他にも、スピッツとぼくりりの歌詞似てるとこが結構あるんですよね。
全て投げ出して拾い集めまた泣いてるよ
sub/objective/ぼくりり
あれ、一緒だ。
こういうとこまで似ている。
生まれてから死ぬまでのノルマから
紙のような翼ではばたき
どこか遠いところまでホタル/スピッツ
「ホタル」の主人公も生まれてから死ぬまでの人の一生をノルマのように感じて、それから逃げたい、という気持ちがある。
でも持ってるのは紙のような翼。濡れたり破れたらおしまい。だから多分逃げられないこともわかってる。
それで「君」に現実逃避してしまっている、っていう歌だったのね、これ。
ぼくりりもそうだ。違う曲だけど同じこといってる。
ただ二人殻の中でそっと繋がっていればそれでよかったのに
collapse/hollow world
二人、って、女の子と二人でいる感じもするけど、
子供の自分と一緒にいたい気持ちと、それはいつまでも続かない、モラトリアムでいられないことがわかってる気持ちを歌ってると思う
だからぼくりりのこの曲(collapse)に関しては、この部分には、はっとするものがあるんだけど、これは本当はモラトリアムな自分との関係を描いてるのに、
それを女の子との関係に置き換えて描いちゃってるから、妙に背伸びしてる感じになって、全体としてはちょっとちぐはぐな感じがあるんだよね。
さなぎ、蝶、翼、なんかもスピッツとぼくりりに共通して頻出するモチーフ。
だから二人とも、曲(「ホタル」「shadow」)の中では女性と戯れてるようで、子供の自分と戯れてるんじゃないかなと思う。
スピッツの「ホタル」の「正しいものはこれじゃなくても
忘れたくない 鮮やかで短い幻」っていうのは本当はもう大人にならなきゃいけないってわかってるけど、少年の心が尊くてまぶしくて忘れたくないって読める。
スピッツの「ホタル」出たのいつか調べたら2000年なのね。当時の草野マサムネいくつだったか、っていうともうすぐ30歳。
これがもうすぐ30歳になる人が作る歌かどうかっていうと、エロティシズムっていう点では見合ってるけど、内面としては、どうなのか、ちょっと考えちゃう。
ぼくりりは、大人になりたくない、っていう気持ちは本人の年齢に見合ってるけど、それをエロティシズム(とも違うか。でもとりあえず男女関係)に昇華するには経験が足りてなくて、そこがちょっとちぐはぐ。
スピッツの歌はどれもどこか切な気持ちいい。歌声が素直で伸びがいい感じがするのと、澄んで透き通った感じがするので、スピッツに対してなんとなくそういうイメージを持ってました。
歌詞の意味全体を良く考えると、そうでもない。
大人になれない・なりたくないちょっとひねくれた少年の心を歌ってるものが多い。
最近出た「ヘビーメロウ」も謎曲で、さすがに少年ではないけど、やっぱり普通の48歳が考えたり歌ったりする歌ではないな。
ヘビーメロウについて書こう。