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スピッツ新曲ヘビーメロウの謎歌詞の意味を解く

ヘビーメロウ

スピッツの新曲の「ヘビーメロウ」、歌詞が謎すぎたのでどういう意味なのかちょっと考えてみた。

「ヘビーメロウ」はまずイントロの音きいた瞬間に、「あ、yogee」って思いました。


Yogee New Wavesの 「WAVES」と音が似てるんです。それだけ若いってことなのかな。
歌詞の感じも似てるかも。応援してるんだけど、自分もそんなに大人じゃないっていう。
精神年齢が角館くんとあんまり変わらないのかもね。(いい意味で言ってます)

 

声変わってないのもすごいな。「ヒバリのこころ」とかに比べると若干渋くなってるかもしれないけど、どっちがいいかは比べられない。

 

ヒバリのこころ

ヒバリのこころ

 


草野マサムネ今いくつなんだろうと思ったら48って出て来てびっくりした。

 

それでまたこの「ヘビーメロウ」って歌詞が謎だらけなんだけど、まず


信じていいかい? 泣いてもいいかい?

こんなこと言う48歳いないから。

あの小沢健二でさえ、ほの甘いカルピスの味に現状を問いかけられる程度だよ。

 

ヘビーメロウ

ヘビーメロウ

 (きみになりたーい 、から、泣いてもいいかい? 逃げるのが嫌で無茶ぶりされ、まで入ってます)


韻を踏んでるところも多い。


花は咲いた「ぜ」 それでもな「ぜ」
嗤ってく「れ」 時代遅「れ」
紐をほどい「て」 折り目伸ばし「て」 気球を操っ「て」

確かなみら「い」 いらな「い」

とか。

 

逃げるのがいやで 無茶ぶりされ こらえてた頃

この辺「春の歌」とかぶるなあ。

 

春の歌

春の歌

 

こことおんなじ気持ちを言ってると思う。


平気な顔でかなり無理してたこと 叫びたいのに懸命に微笑んだこと

朝の光にさらされていく


春の歌/スピッツ

「春の歌」のここのところ、説明できないけど、好きなんだけど。 

「朝の光にさらされていく」って歌われると泣けてくる。

自分が無理してたことあったからかもね。

 

嗤ってくれ 時代遅れ 俺も独りさ

嗤ってくれも、時代遅れも、ちょっと卑屈感が出てるフレーズ。
でも俺「も」ってとこが応援歌っぽい。

時代遅れ?そんなことないっすよ。

 


夜は明けたぜ 鶏も鳴いたぜ 期待裏切る

なんちゃってファンキーなリズムに乗って 生命灯せ

朝のテレビのために書いたから「夜は明けたぜ」で「生命灯せ」は応援
「期待裏切る」はどこにかかってるによって意味が変わっちゃう。

 

対比も多い


花は咲いたぜ それでもなぜ 凍えそうな胸

花は咲いた、であったかくなってることがわかるフレーズを入れて、でも凍えそう、という冷たさを表すフレーズを並べてる。

 


ヘビーメロウなリズム
なんちゃってファンキーなリズム

どっちもわかりそうで実はわかんないので調べつつ考えてみる。
mellowは芳醇な、豊かで美しい、みたいな感じ。スピッツの曲とかそうかも。「ヘビーメロウなリズム」は自分たちの音楽のことを言ってるのかな。


 (Corneliusのも新譜もタイトルが「Mellow Waves」。Yogee New Wavesの今年のアルバムタイトルが「WAVES」。好きなものが色々偶然に被って面白い)


「なんちゃってファンキーなリズム」は、解る気がするけどよく考えたらわかってなかったのでこれも調べた。


funkyはブラックミュージックのファンクからきてるらしい。ファンキーなリズムは、ブラックミュージックみたいなかっこいいリズム、それのなんちゃって版。
だからこれも対比だったのね。

 

この意味を曲解すると、「自分たちはヘビーメロウなリズムに乗って太陽目指した。

みんなは期待外れのなんちゃってブラックミュージックのリズムに乗って頑張って生きろ」みたいな感じになる。

 

「期待外れのなんちゃってブラックミュージック」ってどんなのかって具体例を挙げるとしたら、最近流行った星野源の「恋」とか。

 

恋

 

あれも応援歌だし社会現象にまでなった。
星野源は日本人なりのブラックミュージックを追求してそれを「Yellow Music」って言ってます。
YELLOW DANCER」はそれが詰まってるアルバムで、確かにいいと思う。売れたし、いくつか大きな賞もとった。
その後に出した「恋」は踊れる音楽が前提で、みんな恋ダンス踊った。

でも自然に体が動くかっていったらそうでもなくて、星野源自身、日本人は振り付けあれば踊ってくれるけど、振りがないと踊ってくれないのはなぜなんだ、という疑問を持っている。


ceroの「Obscure Ride 」は2015年で「Yellow Dancer」と同じ年にリリースされてる。
これ、よくわからないけど聴くと体がうずうずするんだよね。


だから、ブラックミュージックの咀嚼力でいったらそのあたりはceroの「Obscure ride」に軍配が上がる、と思う。
でもたくさん売れて認められて賞とったのは星野源の方だった。

 

草野正宗ってそこまで皮肉・卑屈な人なの?
それともメジャーなものに反抗するのがロック精神なのか。

ももし仮にそうだとしたら、草野正宗にロックされる対象になった星野源すごいな。


君になりたい

ここは印象に残るように歌ってる気がする。

で、君って何?ってことなんだけど

君になりたい 赤い服 袖ひらめいて 確かな未来 いらないって言える幸せ

偶然という名の運命で出会った ヘンテコな女神 紐をほどいて 折り目伸ばして 気球を操って 広い空で遊ぶ術を 授けてくれた

 

なので、君=ヘンテコな女神でいいのではないでしょうか。
後ろ2行が楽しそうで好きだわ。

ヘンテコな女神は、人なのか、人以外のものなのかはわからないけど、
確かな未来はいらないって言っちゃう自由奔放さを持ってる。
そんな女神と出会って自分も自由になって、自分も確かな未来はいらないって思えるようになって幸せ
(多分女神は人ではなさそう)


なんだけど

最後

信じていいかい? 泣いてもいいかい?

ここで終わっちゃう。
歌詞が疑問形で終わってる、聴いてる方もちょっと唐突感があるだけじゃなくて、音的にもアウトロなしなんです。
ふつっと終わっちゃう。

そこは意図的にそうしてる感じがする。

なので、この謎歌詞の意味をざっくり取ると、
「太陽目指して、苦しい時期を通って、今それなりのポジションを得てる幸せ、だけど普通の大人の幸せとは違うから、孤独も感じる。」
その狭間で、「これでいいのか?」って揺れてる感じが伝わって来る。

だから、「君になりたい」は、もしかしたら、普通の幸せ手に入れて暮らしてる普通の人のこと、草野正宗はそういうひとになりたい、という意味なのかもしれない。

ちょうどこの曲がテーマソングになってる朝のテレビ見ながら、家事したり出勤の支度するような人。

そういう人に向けて、テレビから流れる音楽を通して、今これを聴いてるような「君になりたい」って言ってるのかも。

普通じゃない、草野正宗が憧れるのは、普通の人の普通の幸せ。

 

だから、元気出していいのか、幸せなのか不安なのか切ないのか、聴いてる方も応援されてるのかされてないのか、よくわかんない謎曲に仕上がっています。


ただ、音はさわやかだし、草野マサムネの声も気持ちいい。
「信じていいかい? 泣いてもいいかい?」って言われると、なんかこっちも泣きたくなる。
だから多分また聴くんだろう、そんな曲です。

48歳っていうと草野正宗小沢健二と同じ年なんだね。
小沢健二は子供二人のお父さんになったし、大人になったと思うんだけど、草野正宗は、まだ大人になってない感じがする。


そこがスピッツの魅力でもあるから、本人が無意識に大人になりたくないのか、スピッツのために大人になろうとしないのか、その辺はわからない。


でも草野正宗は昔からずっとさなぎの中にいて、スピッツの曲はそのさなぎ状態の中から出て来る歌のような気がする。

 

スピッツの最近の曲知らないから、ちょっと時系列で聴いて確認してみたいな。

と思ったらスピッツは久々にベスト盤が出るって知った。

CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX

初期からこの曲まで入った3枚組。タイムリー。でも最初2枚ダブっちゃう。

 
「春の歌」より後の曲が入ってるアルバムがバラでも出るみたい。

 

CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection

その中にこの曲「ヘビーメロウ」も入る。「みなと」とかも入る。

 

みなと

みなと

 

CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection(通常盤)

CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection(通常盤)

 

 (なんではさみなのかな)

 

なんか3枚組がお得で羨ましい。

ジャケット画ボタンでかわいいし。はさみとボタン。裁縫?

 

スピッツは「チェリー」が学生の時すごく流行ってカラオケで歌う人も多かったんです。

だからいいなとは思うけどちょっと「流行りもの」って感じでみてたところがありました。


「チェリー」の「愛してるの響きだけで強くなれる気がしたよ」って割と素直だし、

 

チェリー

チェリー

 (愛してるの響きだけで強くなれる気がしたよ、ぎりぎり入ってる)

 

私がスピッツに持ってたイメージって結構透き通ってさわやか、って感じだったんだけど、それ間違ってたみたい。(でも「チェリー」はやっぱり青春してる)


ロックとかラブソングがそんなに好きじゃないっていうのもあるんだけど(そうすると聴くものがあんまりなくなる)


スピッツはそんなに単純なロックでもなくて結構変わったことしてみたり、音も結構面白いことやってるんだよね。聴いてみてわかった。

売れるところを狙ってはいるんだけど(だからCMに使われたりタイアップ付いたりすることが多い)、それだけじゃないところもある。

そのバランスがうまいなあと思います。

 

というわけで、「ヘビーメロウ」は、普通じゃない草野正宗が、普通の人に憧れる気持ちをちょっとひねくれて歌ってる歌、って思うことにします。(簡単過ぎ?)

 

 

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