sumikaファーストフルアルバムFamiliaを聴いてます。(レビュー2someday歌詞)
Sumikaの
これをヘビロテしていて、このプレイリストを作ったときにもこの曲をトップに使いました。
アルバムの曲についてYou Tubeを貼りながら書いていたら 聴き込んでいるうちに書き直したいところもあるけど固まって何も書けなくなったので仕切り直して1曲だけにします。
sumikaのラブソングって割とリアルに情景が浮かぶものが多いかなと思ったのですが、
somedayって曲が、MVがなくても勝手に情景が目に浮かぶ、それでほろっとする歌詞が後をひくものがあるので、それを紹介しようかな、という記事です。
このアルバム、夏に出した割に、秋冬イメージの曲が多いので今からでも全然いけます。
somedayって3分もない曲なんです。
2分43秒。イントロとアウトロ抜いたらもっと短いです。
短いですよね。
短いけど、ストーリーが想像できて映像も浮かぶショートショート・短編映画みたいな曲だと思います。
ちょっとした中毒性があって、プレイリストを作る前は一曲リピートしてました。
sumikaはラブソングも多いのですが、なぜか、だいたい片思いで、かつ相手からは完全に友だちポジションみたい。
somedayも主人公は片思いしていて、彼氏がいるかいないか聞けてないようです。
右手薬指にはまった
指環の意図を知りたいが
湯気越しに見つめる君の
視線の先は真昼間のテレビジョン
たった4行なんですが、なんとなく舞台や登場人物の気持ちがわかります。
舞台は一人暮らしの主人公の部屋で、昼間におうちに女性を招いて、主人公はキッチンにいて、女性の居る部屋の方を見てる。
主人公は彼女の右手薬指にはまった指輪が気になっているけど、その女性はテレビの方を見ている、という構図。
この指輪の意味は何なのか・・・知りたいけど、聞けないまま部屋に呼んでしまっています。
昼間の(たぶんあまり面白いわけではない)テレビの方を見てる、ということは女性は部屋に来てる割に主人公にあまり興味を持っていなさそう、ということもなんとなくわかります。
あと、昼間とはいえ家にあがっているので、知り合ったばかりではなさそう、ということもなんとなく想像できてしまいます。
手回しで挽いている
ブラジル産の豆 餌にして
真昼に招いて
罪の意識などがね
生まれないように
主人公は手回しのミルで豆を挽いてコーヒーを淹れています。
右手薬指に指輪があるのを知っているので、彼氏がいるかもしれない、ということが頭の隅にありつつも、「いい豆があるよ、旨いコーヒー淹れるから」とかなんとか言って(餌にして)部屋に呼んじゃう、罪悪感が生まれないように、昼間の時間を選んで。
女性も昼間ならいいかなって来ちゃう程度に、気を許してるんでしょう。
だから結構古い友だちかなと思う。
罪悪感が生まれるのは主人公か女性かどっちかな。
最初主人公かと思ったけど、今は女性の方じゃないかなと思っています。
飲み干して
淹れたての珈琲と僕の心
粗く挽いたから
苦みも残るでしょうが
そのブラジル産の豆を荒く挽いて淹れたコーヒーを出しています。
淹れたてのコーヒーを、どうぞ、って出してるんだけど、そこに自分の心も挽いて淹れたから、飲んだら苦みも残るでしょう、
でも飲み干して、と言っています。
ここで、聴いてて気持ちがぎりり、と音をたてたフレーズが
<僕の心 粗く挽いたから>
心を挽くって・・・想像するとやばい。
歌い方も <僕の心>のところだけちょっと歌い上げてる感じ。
飲み干して
冷めたら不味くなるような
もんじゃないでしょうが
コーヒーというものは冷めたら不味くなるものだし、手回しでコーヒーを挽くような人ならそんなことは百も承知だと思います。
ところが、ここでは
<冷めたら不味くなるもんじゃないでしょうが>
と言っています。
つまり、コーヒーと違って、荒く挽いた「僕」の心は冷めたら不味くなるようなものではないでしょう、
つまり、「僕」の心は別に時間が経って変わるようなものではない。
出来るなら
この部屋のドアを出るその前に
でも、できれば、今日この部屋を出る前に、このコーヒーと一緒にそれも全部飲み干していってほしい、と言っているみたいです。
<冷めたら不味くなるもんじゃないでしょうが>の歌い方なんですが、
冷めたら不味くなるもんじゃない でしょう が できるなら
です。
これで終わり。(短いでしょ)
その後電子音キラキラの後、ドラムがたたたたって鳴ってぴたっと止まります。
ううう、なんだこの短くてほろ苦い歌は。
この曲はまるでコーヒーのカフェインのような中毒性があります。
どうしてここにドラムたたたた、を入れたかわからないけど、入れて正解だと思います、これが癖になる。(ジャズ系の曲でこういうの多い)
この曲を1曲リピートすると、ちょっと違うドラムたたたたで始まってるのがわかります。
逆にsummer vacationの頭に「さまーばけーしょん」っていう女の子の声を入れた理由はよくわからないです。慣れたらかわいいけど。せりふ入れるのピチカートとかもやっていたし。最近聞かないな。
たぶん主人公は指輪の意図を直接尋ねるつもりはないと思います。
聞きたいけど、聞きたくないんですよね。
で、多分コーヒー飲んで、少しおしゃべりして、帰ると思うんですけど、淹れたコーヒーの苦みで気持ちに気づいてほしい
できればコーヒーだけじゃなくて「僕」の心まで全部飲んでいって、という。
(sumikaだからいいけど、媚薬入れられたみたいで若干怖い)
そういえばsummer vacationでは、「僕」は温いアイスティー飲めなかったんです。
温いアイスティー
飲めば帰るだろ
僕は飲めなかった/summer vacation
こっちは喫茶店かカフェかどこか外のお店で頼んだアイスティー。
頼んだアイスティーがもう温くなってるんですが、飲み終わったら相手が帰ってしまいそう。
そんな気がする「僕」はアイスティーがぬるくなっても残したままにしてるのです。
つまりまだ帰りたくない。
対照的に、somedayでは自分が淹れたコーヒーは、全部飲み干して、と言ってます。
somedayはシンプルで音数少なそうで、電子音でキラキラした音や、コーラスもひっそり入っています。で、このコーラスが他の曲のコーラスと違っていてメインボーカルをしっとり柔らかく包みこんでめっちゃ良いです。
ドラムの最初と最後のつながりが良いので、この曲だけずっとリピートしても良い感じに聴けます。
この歌詞で描写されてるいのは、主人公がコーヒーを淹れてる数分間なのですが、
この曲の短さと、描写されてる時間の短さが妙にリンクするんですよね。
情景は思い浮かぶのですが、主人公が淹れたコーヒーの行方は描かれていないんです。
コーヒーは全部飲まれたのか、半分くらい飲まれたのか、はたまた苦くて残されたのか・・・
コーヒー豆と一緒に荒く挽かれた「僕」の心の行方も不明です。
コーヒーと一緒に飲まれて彼女の心に何か変化を起こしたのか、ただのコーヒーとしか思われなかったのか・・・
主人公が彼女に自分が淹れたコーヒーを飲ませることで「何かが変われ」と思っていることは確かだと思うのですが、その辺は想像に任されています。
その辺、どうなったんだ・・・
聴いてる感じだと「僕」もそれ以上何か聞くことも行動を起こすつもりもなさそうなので、部屋に招いた女性も淹れてもらったコーヒー飲んでこのまま帰りそうな雰囲気です。
でも「僕」の心の中ではこういうドラマが繰り広げられていますよ、という曲かな。
sumikaの
Familiaに入ってるラブソングは、比較的時間軸が長く描かれているものが多い、と思うのですが、この曲は一瞬の時間を切り取っている点で異色なのかもと思います。
ただ、<冷めたら不味くなるもんじゃないでしょうが>と言っているので
「僕」の心は多少時間が経っても変わらないんだろうな
右手薬指の指輪の意味を知ったところで諦めるわけでもないんだろうな
ということは想像できます。
あ、その後summer vacationで
つきあったらさ「楽しいかもね」
って言われて悶絶するのかもしれないですね。
summer vacationはこういうフレーズもあります。
狂おしいはずさ
歌い方を聴いてても、 summervacationはちょっと大人な曲でもあると思います。
(sumikaって歌詞みてたら若い人かな、と思ったら意外とそうでもなかったです。)
その中にラブソングが何曲かあるんですが、バラバラに入れられてるそれを全部つなげると一つの話になりそうなんですよね。
sumikaのことそれほど良く知らないので わたしがそれをやるのはちょっと止めておきますが、そういうの想像してみても楽しいですよ。
では、summer vacationとsomedayの2曲がわたしの中ではツートップで好きなのですが、この曲の共通点って、テンポがしっくりくるんです。
そして、この2曲ってこれまでのsumikaとは違うイメージらしいです。
ということは、この2曲を選んでしまう自分は従来のsumikaファンとは違うタイプなのかな。(やや自己分析)