mirayeeh!:音楽がきこえるブログ

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ぼくのりりっくのぼうよみ歌詞から見るデビュー前後の心境の変化1「つきとさなぎ」「もう実家帰りなよ」SANABAGUN./東京事変キラーチューン/村上春樹「壁と卵」

SKY's the limit/つきとさなぎ

ぼくのりりっくのぼうよみ、の「つきとさなぎ」は、「サイタマノラッパー」っていうテレビドラマのタイアップ曲として書き下ろされた曲なのですが、その中にデビューして音楽業界に身を置いてみてからの、ぼくりりの心境が折り込まれているみたいで

それが決して明るくないのが気になっていました。

 

いつもなら時系列で解説するところなんだけど、ちょっと順番を変えて結論から書きます。

ニュースとかで、本日は予定を変更してお伝えします、っていうあれ。

で、普段やらないことやる(書く)からちょっと緊張する。

 

 ぼくのりりっくのぼうよみ「つきとさなぎ」関する疑問

「つきとさなぎ」を聴いて疑問だったのが、例えばこういうことです。

ちゃんと結果出して順調そうなのにどうしてこんなに寂しそうに歌うのか。

「知らない振りで誤摩化しても心は泣いてるんだよ」は、何を知らない振りして泣いてるのか。

なんでこんなに「やめてよ」に感情がこもっているのか。

 

そもそも「Be Noble(re-build)」っていう前向きな歌を作ったその2ヶ月後に<柄じゃないのは知ってる>って自信なさげな曲を書いてしまうのはなぜなのか。

 

 

SKY's the limit/つきとさなぎ 

 <やめてよ>

 

 で、もう片方の曲は超明るいです。

 <さんらーいずひかりつつまれて 強く美しくわたしが輝くwe are beautiful>

 


ぼくのりりっくのぼうよみ - 「SKY's the limit」ミュージックビデオ

こんな明るい曲の裏面がこういう影が濃厚な曲っていうのも不思議で。
「スカイズザリミット」では「すっごいいいのできちゃった」って言って、その裏面でああいうこと言う。


それにほんの少し前(今年)にこういう曲作ったばかり。

Be Noble (re-build)

 どんな歌詞かはもう書いてるのでこちら

piria.hatenablog.com

 

 ここではかなり前向きな決心して、表向きの発言は強気。

Be Noble

Be Noble

 

その2ヶ月後(日付みたら約3ヶ月かな)にはこういう曲(つきとさなぎ)出しちゃう、っていうところに、ぼくりりの二面性や不安定さは感じてて

 

で、こんなに短期間でなんでこうも変わるものなのかな、って疑問に思っていたのですが、理由というか、事情がわかってきて

これはいかがなもの?

 

わかりやすく言うと職場環境です。

具体的に言うと、10歳くらい上のちょっと怖い集団に目をつけられてオラオラされてる。

仕事場だから職場なんだけど、もう中学高校の延長線上みたいな感じ。そういうレベルに見えます。

 

SANABAGUN.の行き過ぎた「かわいがり」

ぼくりりと同じCONNECTONEっていうレーベルに、同じ年にデビューしたSANABAGUN.っていうグループがいるんですが、SANABAGUN.は、メジャーデビュー2枚目のアルバムの中に「メジャーは危ない」って曲作って、メジャーデビュー後の苦境を歌にしています。

メジャーは危ない

メジャーは危ない

<大人の介入社会の細工 満たされない俺らの財布><メジャーと呼ばれる皿の上踊らせてるようで踊らされて結果や数字に脅かされてる>

 

自主制作の「もう実家帰りなよ」はもっとやばいです。

やばい、っていうのはたちが悪い、って意味で。

品がないんだけど、別に自分たちのこと言ってるだけなら何いっても良いんです。

気になったのが

<楽器も弾けないお前はハゲか>

っていう歌詞があったりして、これは、ぼくのりりっくのぼうよみをdisってるのか?って思われても仕方ない箇所。


これだけじゃなくて、実家帰りなよ、は、ぼくりりdisってるのかな、って雰囲気の歌詞が他にもあります。

さらに、「ラップクルー、これdisってこいよ」って言って挑発もしている。


実家帰りなよ、の公開は、2015年8月で、ぼくりりのデビューが2015年の11月(EPリリース)、12月(アルバムリリース)です。

でもリリース3ヶ月前には完成してるはずだから、両方とも同時に鋭意制作中ではあったと思います。


<フォローの数、Facebookページの「いいね」で偉そにしてんじゃねぇぞ>


ぼくりり、twitterはやってて、とにかくいいねしまくってフォロー数増やしてる、ってことは言ってるから、これも当てはまる。この時期からフォロワー多かったかはわからないけど。

 

twitterで誰にでもいいねしてフォロワーを増やすのは褒められたことじゃないかもしれないですが、ぼくりりはこれを仕事としてやってる、と言ってるから、

これは営業努力、と言い換えることもできます。


じゃあ、そういう努力何かしてたのかな、SANABAGUN.は。

 インタビュー読んだことあるけど、驕ったところはちょっと感じるんです。

www.cinra.net

インタビュアーさんがまず、この人たちを怖がってそうな雰囲気が記事から伝わって来る。(笑)

俺は前から「俺の才能に早く気づけよ」って思ってたんで、今いい感じですね。俺たちより売れてるやつらが「SANABAGUN.かっこいいね」とか言ってきても、「俺らのほうがお前らより優れてるんですけど」ってずっと思ってたし、「俺らにあやかろうとしてんじゃねえよ」って思うんで。(小杉)

 これは2015年(2015/10/20)の話です。

(小杉=HSUSuchmos掛け持ち。SuchmosHSUTAIHEIが所属))

 インタビューに答えてるもう一人はそこまで感じ悪くはないかなと思うのですが、「ラップクルー(ラップやってる奴)これdisってこいよ」とは言ってる。で、それが狙いだとも言ってるけど、2年経つけどそれに乗ってきたラップクルー、は、いないようです。(再生回数が伸びてない)

 

<まずジャズ聞け 頭の悪さ知れ>
<ミュージシャン面かお前は誰だ?
聞いてみたらあれギャグですか?>(もう実家帰りなよ)

これもぼくりりのことを言ってるような気がしなくもなくて。


その1年後どうなったか、っていうと

SANABAGUN.とぼくりりで明らかに差がついて、ぼくりりのバックバンドにSANABAGUN.が駆り出される、っていうことになる。

 (after thatってジャズ寄りの曲のMV)

after that

after that

 


ぼくのりりっくのぼうよみ - 「after that」ミュージックビデオ

お面被ってるけどクレジットみるとバックでSUNABAGUN.の楽器隊の人が3人演奏しています。

 

 ユーモアを履き違えたSANABAGUN.

SANABAGUN.のうち二人(HSU含む)は上のインタビューで「実家帰りなよ」を「ユーモア」って言っているのですが、こういうのはユーモアって言えないと思っています。

なぜかというと、誰も笑わせることができないからです。

 

自分より上にいる人をロックするのはかまわない。

けど、どっちかっていうと、この人たちが陰でやってることは相撲で問題になる行き過ぎた「かわいがり」っていうやつじゃないかな。

全然相撲界じゃないのに。何やってんの。

音楽業界ってこんなにブラックなの。


まず、この人たちに言うこと何もないです。

サナバは、まずジャズ聞け、って言ってる、けど、音楽の中でジャズ聴いてる奴が偉い、って自分が威張れる狭いところで偉そにしてる。

それって自分たちがdisってるSNSのいいねで偉そうにするやつ、と同じだし
だから、他人をけなしたことが歌詞の中で自分たちにそのまま返ってきています。

そう、<それがanswer>

頭の悪さ知れ、ってそもそも賢い人はこういうこと言わないから、ただ頭痛い。

 

音楽使ってユーモアで鬱憤晴らしたいなら、もうちょっとおしゃれにやりなよ。

フリッパーズのワイルドサマービートでゴーゴーとか

カメラ・トーク

Wild Wild Summer / ワイルド・サマー / ビートでゴーゴー

Wild Wild Summer / ワイルド・サマー / ビートでゴーゴー

  • FLIPPER'S GUITAR
  • J-Pop
  • ¥150

 (これは小沢健二が高校時代、付き合ってた彼女に振られて別な男に乗り換えられたっていう苦い過去がベースかなと思ってるんだけど、それを歌にしてポップな仕返ししてる。で、何より聴いてて歌詞が可笑しいんだけど、誰も傷つけてない。ここまでできて初めてユーモア。)

 

HIPHOPってこうやって他人を貶すのがマナーっていうなら、

好みじゃないね。

(あれ、<好みじゃないね>って歌詞誰が作ったんだっけ・・・)

 HIPHOPで他人を貶すのも、もともと、喧嘩になっても暴力はやめて平和的にことばでやり合おうって意味じゃなかったのかな。

こういうのって、まずリスペクトや信頼関係があった上でことばの応酬をするのがcool、ってことじゃないかと思ってたんだけど、思い違いかな。

そう思ってたので、どこにも暴力が始まる気配がないのに、一方的に仕掛けてるのもおかしな話だなって思っていたのですが

挑発したつもりが独り相撲が空回りして、そのままもうすぐ2年になります、っていうふうに見えます。

 

 でもサナバにはMammyMammyって曲があったりもする。

Mammy Mammy

Mammy Mammy

 


SANABAGUN. - Mammy Mammy (Music Video)

 (これはMammyMammyってお母さんを恋しがる歌。これは愛があっていいと思う)

 

実家帰りなよ、はMVがあって、記事かくので確認のため見ました。

とりあえず、業界の色んなものdisってみました的な内容です。

 (んーちょっと貼らないほうがいいかなと思うので見たかったら探して)

メンバー全員が、かわるがわる歌ってるんですが、

<最近会うね、お前も誰だ?>

<ミュージシャン面かお前は誰だ?
聴いてみたらあれギャグですか?>

 <楽器も弾けないお前はハゲか>

このぼくりりイメージさせるパートはHSUが歌ってて、しかもオラオラ煽ってる。

 

で、ぼくりりはSuchmosのステイチューンワンフレーズ歌ったりする。
どっちかっていうと仲良くやりたいんです。

 

だから、もしぼくりりがこの、「実家帰りなよ」のMVのHSUパート見たらショック受けるだろうな、と思います、強がってもまだ未成年だし。

 

 感想としては、なかなかに「ブラック」な職場環境みたいですね、こちらのレーベルさんは・・・って感じ。

 

公開ハラスメントでしょう、これ。

初めてみるから何ハラかわからないけど、一般的には、モラハラって言われるケースじゃないかな。集団でやってるからパワハラでもあるね、たちが悪い。

懲戒ものでしょう。 

 

「実家帰りなよ」と「つきとさなぎ」のどちらにインテリジェンスを感じるか

なんで「インテリジェンス」って単語が出てくるかというと、上記サナバインタビューで出て来たから。

 

Be Noble (re-build)っていう変わらない現実を受け止めて生きていこう、って曲リリースした2ヶ月後に、居場所がない、やめてよ、って嘆く曲書いた理由は

見えないところで何かこういうことがあったからかも、って思うとちょっと胸が苦しくなる。

 この曲も原曲のbe nobleに比べて歌い方が切なそうで気になっていたんです。

一緒に入ってる曲もこんな感じ

<踊れなんも知らない振りで演じてるよいつまでも決められたまま踊れよ><使い果たしたいんだ心まで><広い世界と狭い視界><共同体の小さな歯車自分を殺して笑ってる>

たぶんぼくりり自身のこと。陰で嫌がらせされてるのは知ってる。でも知らない振りして踊れ。踊って心も使い果たしたい。メジャーっていう共同体の歯車になった自分はただ決められたまま踊るだけだ、さあ踊れよ、自分、ってダンスミュージックにのせて歌う。

で、自分の視野が狭いこともわかってる、気にしなければいいこともわかってる。けどメジャーと契約した自分は決められたルールのまま踊ることしかできない。

だから、踊れ。

これも聴いてて胸が苦しくなる、こういうループに入ると抜け出せないからね・・。

 (それがまたダンスミュージック、っていうループ感とも、踊れ、っていう歌詞ともシンクロしててうまいわ、やることが。

サナバは踊らされてる、って嘆いてるけど、ぼくりりはむしろ、踊るしかないんだから、踊れ、って歌ってて、なんかあっちは外見と集団でつるんでるのが怖いだけで、こっちの方が芯が強いんじゃないかって気もしてくる。)

 

 

 

 だから「つきとさなぎ」の歌詞はこうなったのかなと思う。

<やめてよ>

<知らないまんまでいられたらどれだけ幸せだっただろう>

<知らない振りして誤摩化しても心は泣いてるんだよ>

一応、やめてほしい、ということは言っていると思います。

 

反撃になるかなってところをしいてあげるなら

花を咲かすことを夢見つつ言い訳を唱えたら何か変わるのかい?

(ここはエフェクトかけて弱くしてる)

あなたたちも上に行きたいんでしょう、それで今の状況、何か変わるの、って暗に指摘しているようにも受け取れます。


「実家帰りなよ」と「つきとさなぎ」のどっちにインテリジェンス感じるか、っていったら明らかに「つきとさなぎ」でしょうね。

(金持ち喧嘩せず)

 

「もう実家帰りなよ」が、もたらした結果

「ラップクルー(ラップやってる奴)これdisってこいよ」っていう「実家帰りなよ」の狙いは外れて、独り相撲で終わったみたい、っていうのが一つ。

それから、同じレーベルにSANABAGUN.ぼくのりりっくのぼうよみ、ってラップ・ヒップホップってジャンル分けされてるアーティストがいて

「サイタマノラッパー」っていうドラマのテーマ曲の依頼がきたのは、サナバじゃなくてぼくりりの方だった。

この時点であっちが勝手に売ってたけんかの勝負は、ぼくりりが買う前にこういう形でついてしまっていました。

タイアップで仕事を振れるようなアーティストってなると、ああいうことする人たちじゃなくてぼくりりの方になるんです。

 

だからまったく気にする必要ないんだけど、職場で嫌がらせする人がいたらやっぱり気にするなって言う方が無理だと思うんですね。

毎日顔合わせるわけじゃなくても同じ共同体の一員として繋がってしまっている事実は変わらないので。

 

(こういう意地悪なことする人間と「人と人だけが頼りだ」「I&I(人類皆手をつなげる)」って歌詞作って歌うYONCEが一緒にやれてるのが不思議です。

<respect失った21st>って合唱してる仲間がリスペクト失ってる

超絶仲良かったのに、後で小山田嫌い出す小沢みたいになる未来が見えるようだよ、もしヨンスが小沢程度に賢かったら)

 

返歌:東京事変「キラーチューン」と村上春樹「壁と卵」

わたしはラップクルー、でもなんでもないリスナー側だから、かわりに良く聴いてる東京事変のこの曲をお返ししようかな、と思います。

 <贅沢するにはきっと妬まれなきゃいけないねちょっと芳(かぐわ)しいのを睨まないで欲しがらないなら>

 

作詞 椎名林檎 作曲 伊澤一葉

これ2番の歌詞ね。

キラーチューン

キラーチューン

 このギター、なんでこんなにぎゅいんぎゅいんするの。(つまり好き)

 


東京事変 - キラーチューン

 

あと、これも差し上げます。村上春樹の有名なスピーチ。

ここで、一つ非常に個人的なメッセージを述べさせて下さい。(中略)

もし、硬くて高い壁と、そこに叩きつけられている卵があったなら、私は常に卵の側に立つ。
そう、いかに壁が正しく卵が間違っていたとしても、私は卵の側に立ちます。何が正しくて何が間違っているのか、それは他の誰かが決めなければならないことかもしれないし、恐らくは時間とか歴史といったものが決めるものでしょう。しかし、いかなる理由であれ、壁の側に立つような作家の作品にどのような価値があるのでしょうか。ーー村上春樹

エルサレム賞受賞スピーチ)https://www.kakiokosi.com/share/culture/89

ひっかかったのがラップクルーじゃなくてごめんなさいね。

気づいても知らん振りするのが一番得で賢いんだろうなと思うし、正直係わりたくないと思うけど、わたしはこういうの見るとちょっと黙っていられないバカなんで書きました。

ただ、まわりの大人がちゃんとしてればこんなこと書く必要もなかったはずです。

 

で、「つきとさなぎ」はデビュー後の今の心境だけど、ぼくりりの

hollow worldってファーストアルバムにの中にある「Black Bird」っていう曲はデビュー決まった時の心境が出ているかなと思っていて

それがSuchmosが(メジャーデビュー時の)今の素直な気持ちを綴った、っていう

OVERSTANDが、ぼくりりが高校生の時作ったそれと似てるところがあるんです。

 

だから実家帰りなよで皮肉や悪口言ったこと、誰も何もしなくても自分や仲間にそのまま返ってきて、これも時間が決めてる部分があります。

 

そして、これもコーネリアスMellow Wavesで書いてるHelix/Spiralだな、と。

(Helix/Spiralで歌われてる時間よりもっとずっと短いけど)

 

椎名林檎村上春樹が全部言ってくれてるからこれ以上は言わない。

これ書いてる間、どんどん眉間に皺寄ってきちゃってしんどい。

 

で、順番が逆になるけど、これから、「blackbird」と「つきとさなぎ」の歌詞を聴きながら、ぼくりりがどんな気持ちでこの歌を作ったかを踏まえて読んでいこうかな、って思います。

コーネリアスMellow Wavesの続きもUPします。

 

読んでくれた皆様、ここまで長い文に付き合ってくださって有り難うございました。

(7600文字over) 

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