Cornelius(コーネリアス)Mellow Wavesは歌詞を聴け。1(cero「街の報せ」共通点と違い)
Cornelius(コーネリアス)の「Mellow Waves」を通しで聴けたので、ちょっと書きます。
01から03までで一つのテーマを扱ってて、ceroの「街の報せ」とテーマが被る。
なので、ここではどこが同じでどこが違うかをも書きます。
まず、すごく聴きやすいです。音が穏やかだし、とんがっていた若いコーネリアスがいなくなってる。
でもそこがいい。(わたしは)
落ち着くコーネリアスってある意味新鮮じゃないですか?
先行の「あなたがいるなら」と「いつか/どこか」を聴いていたので
この二曲はとても良い。と思っていました。
コーネリアスはある意味、音楽の中で歌詞は捨てましたからね。
(迷走期間に出した歌ものポップを除いて。多分小山田圭吾はこの土俵じゃ勝てないと思ったのではないかな。言語担当がいなくなってフリッパーズ時代に比べて歌詞は薄くて軽くなっちゃったから)
でも「あなたがいるなら」は作詞坂本慎太郎だし、「いつか/どこか」は、やっぱりコーネリアスだな、っていう歌詞。でも良い意味で裏切ってくれました。
で、こんなに多くの曲に歌詞が付いてたのも予想外。
このアルバムはコーネリアスなりに歌詞に技巧を凝らしてるのが新機軸で
なぜこういうことをしたのかは、全部聴くとわかると思う。
タイトルに「Mellow(成熟した)」って入ってるだけあって、中年にさしかかった以降の人が聴いて「超良い」って思うアルバムじゃないかな。
「Fantasma」「point」「Sensuous」だけ聴いてた若い人はいきなりこれ来たら、「いまいち」「老けたな」って思うかもって気もします。
もし、「Mellow Waves」物足りない、っていうとんがった音を求めてる人は網守将平「SONASILE」とか聴くといいと思います。
若いよ。
ただ、フリッパーズ時代を知ってる人は、アルバム全体の意味がわかると、後で泣けて来るはず。
まず01.〜03.で一つのテーマを扱っていて、04.のインストゥルメンタル曲で一旦小休止。
05.からまた新たな物語が始まるけど、最後まで聴くとまた話が01に繋がっている、そんな構成みたいです。
順番に解説します。
ではいくよ。
01「あなたがいるなら」
これは02「いつか/どこか」とともに先行でレコード・配信がされていたので聴いていました。
これすごくいいんだ。好きです。(ジャケットだけなんとかしてほしい・・)
これは切ない曲です。以前書いたことある。
歌詞もだけど、歌い方も切ない。
この歌い方聴いてると、人間らしさを否定して猿の惑星に行ったコーネリアスが今は人間に戻りたくなってるのかな、と感じます。
02「いつか/どこか」
01.「あなたがいるなら」と違って、弾けるような音が印象的。
これは01.と変わってテンポがノーマルになります。
人間の消滅、死、もっというと無、がテーマだと思います。
といってもそこはコーネリアスなので、「死」をポップにアレンジしている。
しかもこの曲、横に揺れられるんです。それくらい気持ちいいテンポ。
「死」がテーマの曲で横に揺れてる自分おかしいし、すごいシュールだなって思う。
このアルバム、全体的に横に揺れると気持ちいい曲が多いです。特に歌もの。
そういうコーネリアスって今まであったかな?
そこもちょっと新しいんじゃないかと思います。
01.の歌い方に切なさを感じるのに対して、この曲は、「あなたがいるなら」に比べるとからっと乾いた感じに歌っている。でも以前に比べたらしっとりしてると思います。
「死」をポップに歌う、その辺がコーネリアスっぽい。
さよなら さよなら バイバイ アディオス
アディオスって、普通のバイバイと違って永遠の別れなんです。
(でもコーネリアスはFANTASMAでもアディオス使ってるけど、最後はスマイリースマイルで会えるといいね、って言ってるから、こういう意味って解って使ってないかも)
誰でも この先 いつかは グッバイ
「死」をこんなふうにポップに表現するところがコーネリアスらしい。
グッバイも「グッ、 バイ。」って感じに歌います。
で、気持ちよく横に揺れてると、ここで壊されます。
いつかね どこか 全員 みんなね
歌詞書いちゃうと素っ気ないけど、歌い方は
いつか
ね
どこか
(音)
全員!
みんな!
ね!
みたいな感じです。
坂本龍一の「async」は死に真正面から向き合ってる感じがするけど、こういうひねくれてるところがコーネリアスらしい。
ceroの「街の報せ」の中の「ロープウェー」という曲もテーマ同じだと思います。
(横に揺れてたからceroとつながったのかな)
Everything's Gone To The Foggy Outside
やがて人生は次のコーナーに/ロープウェー
全ては霧の中に消えていく やがて人生は次のコーナーに人生は次のコーナーに人生は次のコーナーに人生は次のコーナーに差し掛かってああっ
・・で終わる。
それがロープウェーのロープが切れたみたいで怖いので、この曲あまり聴けません。
でも同じテーマで違う表現、っていうことでまた引っぱり出して来た。
ceroは時々怖いです。
「街の報せ」の他2曲は幸せいっぱいな感じなんだけど。
それに比べてコーネリアスのポップなこと。
ここまで「死」をポップに表現できる人は他にいないだろうな。
そういう意味で凄い曲だと思います。
ただの死ではなくて、無、というのは
空に光る 星でさえも どこか遠く 流れて消えていくよね
と、星だって消えるでしょ、というところ。
(コーネリアスはもともと宇宙と星好きですけど)
この曲の歌唱の特徴は、「ね」を強調するところだと思います。
消えていく
よ
ね
って歌唱する。
しかも、「ね」が音としていっぱい飛びます。
「ね」って問いかけですよね。だからこれは問いかけてる曲なんです。
何故問いかけなのか? ってことは後の曲でまた説明します。
で、管理画面が固まって書けない。
っていうことで、記事分けます。