ぼくりりのアルバムの歌詞の意味[Newspeak]前編 Suchmosとの類似点
ぼくりりのアルバムの歌詞の意味[Newspeak]編
「ノアズアーク」の6曲目。こちらもEP「ディストピア」にリードトラックとして収録されていました。
意外にもSuchmosと被ってることが多くて一緒に引用するので長くなるかも
Newspeakを説明しておくと、先ほども出たジョージ・オーウェルの小説「1984年」(出版は1948年)に登場する架空の言語。
人びとの思考が反体制にならないよう言論統制するために作られたもの。
押し付けられた言語です。
単調な日々無意識でkick it
半自動routine任せた意思
ここは「ディストピア(EP)」ではオーウェルの登場人物たちの生活
このアルバムの中での意味は、アルバムの主人公「ぼく」が
思春期に持っていた閉塞感、抵抗は大人になって消え、
単調な日々をルーティーンで送ることに慣れて、行動は半自動化
淡い劣等感もとうに褪せ
甘いゲットーが顔を出す
意思を持たなくなり感覚を失い、劣等感も感じなくなってきている状態を指している、と考えてみましょう。
ちなみに「月桃」っていう植物があって
「ゲットーが顔を出す」って聞いたとき、そっちを想像してしまった
Suchmosもこういう状態に反発する姿勢を歌詞でちょいちょい見せています。
(BODY/「THE KIDS」)
こことか、ゲットーという単語レベルではなく、意味としてもほぼ同じこと言ってると思っていいと思う。
(Suchmosのこういう社会問題意識まで気持ちよーく歌っちゃうとこ好き。
「Love なあ聞けよ Talk to you ビバリー ゲットー 隣り合わせで be with you」
ってYONCEの声と単語の並びだけ見てたら、なんかいい感じに聞こえちゃうんだけど言ってる事は結構辛辣です。)
オーウェルみたいな世界になってくよ
オーウェルの世界そのものではなく、2017年の現実の世界のことを歌詞にしていますね。
We are all to blame We gonna be a mere flame
でもそれは自分たちに責任があるよ、といってます。
(We gonna be a mere flameはよくわからない。直訳すると僕たちは単なる炎になる、となってしまう。
文法無視して解釈すると、(そうならないために)もっと情熱を持とう、と言いたいのかな)
溢れる哲学的ゾンビ 有機的鉄格子に送還people
ひどい。(笑)
会社とか組織を「有機的鉄格子」って言って、会社組織にを勤めることを「送還」
組織で働いてる人は「哲学的ゾンビ」
Suchmosも単語としてゾンビを使ってますね。こちらも本物のゾンビではないので同じく哲学的ゾンビ。
like The “Dead rising” soon
(中略)
襲って来る屍のbad girl「Stay Tune/THE KIDS」
これは都会人への揶揄だけど、「BODY」「TOBACCO」なんかにあるように基本的に勤め人に対してそう思ってる。
クソ混んだ電車でDonaDonaDona
(TOBACCO/THE KIDS)
ここ、YONCEは「ダッダッダラー」みたいに歌ってるけど歌詞は「DonaDonaDona」
これ「ドナドナドーナードーナー 子牛をのーせーてー」
この歌、昔学校で歌ったことありませんか?
それで思いませんでしたか?
この子牛はこれから市場に連れられて殺されちゃう、かわいそうな歌。って。
それで満員電車で通勤する勤め人それと同じ、ってここでSuchmosはそう言ってる。
Suchmosのジャミロクワイリスペクトは有名だけど、ぼくりりもライブで「virtual insanity」カバーして「20世紀最高の曲」とか言ってるから、価値観は意外に似たものを持ってる気がします。
「virtual insanity」も、世の中は悪い方へ向かってる、未来は仮想狂気、ヴァーチャルリアリティなんて忘れなよ、そんなのより愛が大事だよ、って歌だから、20年前から現実変わってないのと、SNSなんかでもうヴァーチャルリアリティが現実になっちゃったのとでジャミロクワイの慧眼に驚く。
「virtual insanity」はソニー製品(もう消えちゃったMDなんかにも)
あと、ちょっと経ってからカップヌードルのCMに使われてたからよく覚えてます。替え歌で。
(一昔前のカップヌードルのCMってめっちゃセンス良かった)
「カップヌードルがいいよ〜 他のじゃいやあよ〜 5個くらい食べれるよ〜」みたいな日本語がMVの振りに合わせて当てられてて目がまんまるになった記憶がある。
ソニーの製品もカップ麺もテクノロジーの産物だよね。
「virtual insanity」は「新しいもの何でも食べちゃう人間おかしい」って歌詞にあるのに、なんか曲がかっこいいからテクノロジーでできた食べ物であるカップ麺のCMに使われるっていう矛盾
カップ麺は体にいいかはわからない。多分あまりよくない。わかってるけど食べちゃう。で、一度食べ始めたら便利だからまた食べる。
まさに「virtual insanity」の歌詞通りの状態になってるという構造。
「virtual insanity」も、カップ麺どうこうよりほんとはもっと大きい話だけど。
このアルバムにも「virtual insanity」要素入ってるみたいだから、後で「virtual insanity」の解説もできたらする。
Suchmosの「Stay Tune」も音と冒頭のサビだけなら夜の首都高走りたくなっちゃうような曲だから、車のCMに採用されてるのに歌詞で言ってる内容は東京disっていう矛盾。
20年くらいじゃ世の中全く変わってない。(笑)
もちろん変わってる事もある。その話も後で書く。(忘れたらごめん)
両方に出てるので、ゲットーも解説しとこう。
辞書ひくと
(以前ヨーロッパの都市にあった)ユダヤ人地区、ユダヤ人街、(大都市の)少数民族居住地区、(少数民族の住む)スラム街
ゲットーは基本的にマイノリティ(と呼ばれる人)が隔離されて住んでいる地区です。
かつてはヨーロッパにおけるユダヤ人地区。現代では少数民族が固まって住んでいる地区で、貧困層が多いのでしばしばスラム街にもなっている。
だからちょと差別的な意味も含まれている言葉です。
長いから分けようか