mirayeeh!:音楽がきこえるブログ

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ピッチフォークがCorneliusMellowWavesに付けた点数とレビュー読んだ感想/TeiTowa/FPM/嶺川貴子

 

Mellow Waves

ちなみにピッチフォークがレビューと点数つけてきてたので、予告通り、読んだ感想を書きます。

pitchfork.com

 

最初ね、不満だったんです、点数に。

ピッチフォークさん、あなたにはまだ気づいてないことが山ほどあるようだよ、みたいな。

(あはは、ちょっとけんか売ってる笑)

 

salut × salutのs(o)un(d)beams引いてきて、このプロジェクトにOyamadaは深刻に欠かせない、って書いてたり、

oyamadaはやればもっとできる子、って思ってる感じもします。

(確かに音に関してはやればもっとできる。けど控えてるのには理由がある。それでもにじみ出る才能は隠せない・・・)

 

相変わらずほめてるのかけなしてるのかわかりにくいピッチフォークの言い分はこんな感じです。(読むの疲れるのよ、ここのレビュー)

 

「夢の中で」とかキッチュでまさにコーネリアスなのに「あなたがいるなら」と「The Spell of a Vanishing Loveliness」っていう日本語と英語でストレートなラブソングが2曲入ってることにちょっともやっとして、

(正確には、夢の中で、とかキッチュコーネリアスと、ストレートな愛の歌2曲が日本語と英語の2パターン入ってて、アルバムのトーンを崩してないことが興味深い、みたいな感じかな。

でもfairly straightforwardってかなり簡単な、って意味になるらしいので、だとしたら、え、ホントにかなり簡単だと思ってるの???なんか別なもの見てるんじゃないかって思ってしまう。なので一応前者、って解釈しています。)

 

it even contains, in both Japanese and English, some fairly straightforward love songs Though he's still drawing from the same kitschy waters from which he pulled his Planet of the Apes -referencing name, the easy pop feels of songs like “In a Dream” are its least interesting moments, despite being a tonal element that holds the album together.

  

Keigo Oyamadaはフリッパーズギター解散からプライベートな猿の惑星にたどり着いて四半世紀経つけど、まだまだ天才であり続けている。

ただ、未だにどんな種類の天才かわからない。

 

って締めくくっています。

 

 quarter-century since disbanding Flipper's Guitar and arriving on his own private Planet of the Apes, Keigo Oyamada continues to be some kind of genius, though happily still undecided about which kind.

happily って言ってるから、まだ良くわからないところがあるけど、そこが楽しみ、でもあるみたい。

 

あっちのサイト見てもらえばわかると思うけど、点数は7.7点です。

 

低い(コーネリアスにしては)・・

 

けど、たぶん小山田の狙いとしてはこのくらいの点数でいいんだと思います。

(このアルバムはあまり高得点とってしまうとよろしくないので)

 

ええ、わたしとしてはこういう気分でございます。

絶対美しいのは計れないの

溢れ出すから

キラーチューン

キラーチューン

 いや、強がりじゃなくて。

 

それから、

いつも通りファンタズマ褒めて、サウンドパレットがいつものように雪をかぶったりシュガーコーティングされてない、と言っています。でもとっても楽しい、と。

(ほめてんのかけなしてんのかどっちなのか日本人としてはわかりやすく書いていただけると助かるのだが・・)


Known for the wild, kaleidoscopic pastiche of 1997's Fantasma , Oyamada's Cornelius continues to specialize in creating moments of startling fun, even if his sonic palette isn't always as show-offy and sugar-coated as it once was.

そうかな。めっちゃシュガーコーティングされてると思うけどな。

ラブソング(感情)が入ってるからシュガーコーティングされてないって思うのかな。

でもピッチフォークがコーネリアスが未だ何の天才かわからない、って書かざるを得ないのは、シュガーコーディングがばりばりだからだと思うんです。

 

ほめてるのかけなしてるのかどっちなの、っていうのはここもそうだった。

Gentle guitars and soft-hued synths sustain a mood of a familiar but far-flung locale:a veneer of artistic maturity that camouflages the brilliant and ambitious playfulness of the 48-year-old former guitarist Keigo Oyamada's music. 

穏やかなギターと柔らかな色合いのシンセは、親しいが遠いという雰囲気を支えている。それは48歳の元ギタリストの小山田圭吾の音楽の華麗で野心的な遊び心をカモフラージュする芸術的成熟のベニア板である。

あなたがいるなら

 

brilliant and ambitious playfulness(華麗で野心的な遊び心)をカモフラージュするveneerってベニア板。合板かと思ったら合板の場合はプライヤーっていうらしい。

なんでベニア板がでてくるの。

何かチープにするものの例えみたいな意味みたいだけど・・・調べても英語のページしか出て来ないから、マニアックな比喩なのかも。

 

小山田が言ってたギターリフがラフ、みたいなことを凝った言い方してるのかしら。

 

 

あと、わからない英語がこれ


But in general, he keeps it under his wig, musically speaking

音楽的には、彼は通常かつらの下にそれを隠す。

 

隠すのが hat の下なら、おくびにも出さない、秘密にするみたいな意味みたいだけど、

かつらの下って何?

 

小山田はヅラだろ、っていう話、なわけないしな・・。

 

能ある鷹は爪を隠す的な意味か、できるのに100%出さない的な意味か、何か隠してることあるだろ、みたいな意味か。

うーむ・・・

 

もう、ここ、 いつもこんな感じの書き方なの。

 

他にはこういうこと言っているみたいです。

(まちがってるかもしれないから、真偽を知りたい方は原文読んでくださいな) 

 

・小山田が作ったにしては控えめなアルバム、とか

・あなたがいるなら、は、ジャジーなエキゾチカで、これは彼にしか作れない、とか

・サウンドクリップが音と完全に同期(あなたがいるなら)、とか


Cornelius - 『あなたがいるなら』"If You're Here"

・音が詩と一緒に丁寧にポップアップしている、うっとりするコーラスを頂点に、曲の終わりは音のおもちゃのようなノイズブレイクが詰まってる(いつか/どこか)、とか

レトロフューチャーなサウンドワールドで生き生きとしたエモーショナルなコアを目指している、とか

・彼にしては落ち着いちゃったけど、それはかえってありがたいかも。彼の音楽テーマであるリズムの発明は健在だし。

・ステレオの地平線の上に複雑なシンコペーションが絡み時々フラッシュのように点滅する

・アルバムの最も静かなひとときでさえ、水面下では一糸乱れぬ穏やかな流れがある

Mellow Wavesはむしろファンタズマに回帰している 、とか

Fantasma

Fantasma

 

 ・Mellow Yellow Feel

は、Pointの技法でコーネリアス・コーラスを重ね、ステレオ・パンとインターロッキングギターパターンでコーネリアス的である

Helix / Spiral

のロボットのような声のボーカル・マントラとそれに絡む音はバズビーバークレーのハリウッドダンスみたいな壮大なサウンドステージとか。

 


*Busby Berkeley

いや、なんかこんな美しいものに例えてくれてるんですか。

 

マントラっていうのは文字、ことば、っていう意味だけど、密教真言、呪文、っていう意味もあって

ここでは、HelixとSpiralっていう文字の羅列だけど何か特別な意味がありそう、ってニュアンスでマントラってことばを使ってるのではないかなと思います。

 

 ・The Rain Song

はアコースティックと見せかけてギターがリズミカルな星の光の波とボーカルのレイヤーになってる

 

 

 ・Crépuscule

は、それをさらに展開し、oyamadaのギターはさらに複雑になって無限の空間を開く

 

 

Crépuscule

Crépuscule

 

・・・っていうようなことを言っています。

 

 なんだかほめすぎるほどほめてることはあっても、最終的に文句は一つもないみたいです。

それで、四半世紀経った今でも天才であり続けている、って言ってるのに

その天才に7点台つけるかな。

 

あのー、Point Sensuousを経て(その要素を持ち込んで)あなたたちが金字塔と称えるファンタズマに回帰してて、レビュー本文でそんなに美辞麗句使って褒めてるんだったら、

それが嫌味じゃないとしたら、Mellow Wavesは進化してて、ファンタズマ超えてる、と考えるのが妥当なのではないか?

って突っ込んでみる。(笑)

 

あと、嶺川貴子のこと(元妻ってこと)もちょっと書いてありました。

最近はそうでもないけど、コーネリアスが係わってる2000年前後のアルバムはピッチフォークにもレビューがあって評価も高いです。

これとか8.3点くらい。

FUN9

FUN9

FUN9

 

 これFun9って書いてファンクって読むの。

このアルバムのレビューに「女コーネリアス」って書かれてました。

実験的なんだけど声がかわいいから、ポップに聴ける。あと、小山田が使った曲がサンプリングされてる箇所がいくつかありました。

カヒミ・カリイと声も歌い方もそっくりね。

(おっとこの辺にしよう)

 

コーネリアスじゃないけどマイナスポイント書いてあることもあったな・・・

例えばこれ

pitchfork.com

 

Last Century Modern

Last Century Modern

 

 

これ、こういうこといっています。

ジャパニーズポップスター チャラのボーカルが過度にかわいらしすぎるのがこのアルバムの唯一の潜在的マイナスポイントで、Murder City DevilsのTシャツを着た皮肉な男を狂わせるように計算されたようだ

 

だって。この曲なんだけど

Let Me Know (with Chara)

Let Me Know (with Chara)

 ・・・しかも 4歳児の声に聞こえる とか書いてある、chara好きだからショック・笑

このアルバムには、子供の声サンプリングというか、歌わせた曲あるから、流し読みしたときそっちのことかと思ってた・・・

 

 これ

CHATR (with CHATR)

CHATR (with CHATR)

 

 この頃ってfeat.誰々、じゃなくてwith誰々、なのか、って思ったけど、Tei Towaは常にwith誰々なのね。

小沢健二はブギーバックでfeat.って言葉使ったけど95年くらいかな)

 でもこのレビュアーは

しかしこの甘さに最終的に満足しており、頭の中で歯が溶けてなくなるまでこのアルバムを聴き続けるだろう

と言ってます。

charaの声が甘い(sugariness)から虫歯になって歯が溶ける、って言ってるみたいなんだけど、

 

あれ結局、この人charaの虜になってる?

マイナスポイント書いてると思ったら結局マイナスじゃなかったです。

なんかちょっとしゃれたひとこと言わないと気が済まないのかしら、ここの人たちは。

 

はっきり書いてないけど、点数低い(Point Sensuousより)理由があるとしたらこんなとこかな

・もっとできるのになんでやらないの

コーネリアスにしては唐突なラブソング2曲、しかも日本語と英語両方での位置づけがわからない

・日本語の意味やニュアンスがあまりわからない

・つまり全体で何が言いたいのかわからない

・天才なのはわかる、ただ、四半世紀経っても未だに何の天才なのかよくわからない(って書いてある)

・つまり想像してたのと違うから戸惑っている(次回作に答えがないかという期待)

 

・・・ってところが高得点にしなかった(できなかった)理由でしょうか

 

感想としては、まず、音に関してはさすがに正確に把握して表現するなあ、って関心してしまう反面、中身はあんまりよくわからないんだな、っていうことです。

日本語のニュアンスが解らないのは仕方ないとしても、英語の歌詞も、ネイティブが見ても意外とわからないものなのね、っていうのと。

 ただ、「あなたがいるなら」は親しいが遠い、とか、英語と日本語で愛の歌を入れてるところにもやっとしたり、フリッパーズギター思い出したり、惜しいところまでイメージが及んでるのに、その点と点が結びつく線が浮かばなかったみたい。

それが後悔に変わる前に、って書いた人と別な人なのかな)

あと、この人の書き方だとこのアルバムは後半に向かって徐々に盛り上がるみたいにきこえるけど、ほんとにそうかな?って。

わたしはむしろ逆じゃないかと思ってたし、読んだ今でもやっぱりそう思っているのです 。。

 

褒められるところをみんな褒めたけど、あと一歩のところでわからないところがこのアルバムにはある(だから何の天才か未だわからないけど天才、って言ってみる)

で、よくわからないから、もしかして次回作に答えがあるんじゃないかと思って点数は控えめにつけてみるっていう感じでしょうか。

 

つまり、こんな感じ?

わかりたい わからない気持ち 

OVERSTAND

OVERSTAND

 わかりたいわからない気持ち飛ばしたとこから始まった・・

  

ピッチフォークは本文で褒めて点数低いことあるんですよね。

これとか。

(書いてる人が興奮気味、っていうか疲れてハイになって文章乱れてるし・・・でも書いたのは偉い人っぽいです。)

pitchfork.com

Luxury

Luxury

 

 これはレビュアーは違うけどFPMの別なアルバムにはもっと高い点数付けてたから、うーん、どっちかっていうと逆じゃないかなあ、って思った1枚です。

当時海のものとも山のものともわからない日本人だから辛めにつけたのでしょうか。

 

だから、点数と本文、お前の本音はどっちなんだ、って、見てて思うことがあります。(まあ、文章からにじみ出て来るものが本音なんだと思ってるけど)

 

あとピッチフォークは今年のJPOPでベストな1枚を7.6点にしちゃってるからあんまりこれより高い点つけられないのかな。

これがその一枚。

FANTASY CLUB

FANTASY CLUB

FANTASY CLUB

 

 

さいしょ、点数低って思ったけど、でもこれ(Mellow Waves)はそれでいいんだなって今は思っています。

 

非常にプライベートなアルバムだから、割とひっそりと聴かれるべきって気がするので。

 

英語歌詞で、海外の人には色々わかっちゃうんじゃないかな・・って思ってたけど、この英語の歌詞は天下のピッチフォークの目もかわし切った、ってことがこれではっきりした、ということかも。

 

 veneerとかwigって単語を使ってる時点で、こいつ何か隠してんな、ってことは感じてるみたいなんだけど、結局それが何かはわからなくて、天才の何がどう天才かは説明できなくてお手上げさ

ただ前向きに考えれば、まだそれを解明する楽しみが残ってるともいえる、で、何の天才か説明できないから高得点もつけられないしな、って感じでしょうか。

 

つまり、ピッチフォーク VS. コーネリアスっていう試合が、場外ではあったみたいなんですけど、この勝負は、Cornelius小山田の逃げ切り勝ち。

たぶんそういうことです。

 

Mellow Waves

これは、ゆるいようでものすごく計算されてるアルバム。

で、ここまではほんとに小山田の狙い通りなんだなあ、っていうのが感想です。

唯一小山田がいくら綿密に計算してもどうにもならないのが、人の気持ちがどう動くか。この1点だけですね。

 

何言ってるのかわからない人はこれ聴いてね。

 

piria.hatenablog.com

 

わたしも疲れたけど、みなさまもお疲れさまです。

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