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星野源の新曲がオリコン1位で恋が1位になったことがない(YMOとイエローミュージックとSMAPの空白を埋めるもの)

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星野源の新曲、たくさん売れたみたいですね。

 

初動で『恋』の9割増くらい?

単純にすごいな、っていうのと、あれ、『恋』って一位になったことなかったんだ・・ってちょっと驚いたのと両方ありました。

(『恋』は配信が多かったのは承知)

 

どうしてあれだけ話題になった『恋』が一位じゃなくて新曲が一位になったのか?

一言で言ったら、「それだけ場があったまっていたから」っていう感じじゃないかと思います。

 

星野源ってなんでそんなに人気あるの?」って聞かれたんですが、そんなのわたしにきかれてもわかりません。(笑)

一発屋じゃないの?」とも聞かれたけど、それは違うんじゃないでしょうか。もう3発目くらいの当たり屋です。(当たり屋は日本語がおかしいか)

 

理由は色々あると思います。星野源っていう人が、いろんな分野で活躍できているから相乗効果があるとか、実は色々な楽器が演奏できるし文章も書けるし、コントもできるし多才である・・・とかなんとか。色々理屈はつけられます。

 

でも、それでサブカル的な人気にはなるかもしれないけど、だからってここまでの人気が出るっていうことになると、今の人気は理屈抜きの「勢い」としかいえない気がして。

 

軽い勢いだったらすぐ下降してしまうものかもしれないですが、一度ついた「強い勢い」ってそうそうすぐに衰えない気がします。

 

例えば、ちょっとした火ならすぐ消えるけど、一度山火事になったらなかなか消せないように、そういう慣性の法則みたいなものに星野源が今乗ってるから・・という感じに思っています。

 

それで実力がなかったら、あれあれ?ってなってしまうかもしれないんですけど、土台がしっかりしてるから、今回も良かったんですよね。

 

星野源が「イエローミュージック」って言い始めてから、だんだん改良を重ねてきて、今回またバージョンアップしてきた感じがします。

 

前回は色々な楽器を使ってオリエンタルな風味もあって、音が派手だった気がするんですけど、今回は楽器は割と落ち着いているので、派手さはないけど、ストリングスもコーラスもあるしリズム感を重視しているから下の方の音が気持ちいいです。

 

恋

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 音が派手で、テンポも早くてキラキラ感がある。

Family Song

Family Song

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 上に比べると地味かもしれないけど、実は気持ちいい。

 

『恋』が気に入って今回が「?」な人は、「上の音」に派手さがないから物足りなく感じるんじゃないかな?と思いました。

 

だから、一発屋疑惑については、一発屋でもないと思うよ、と

「長続きしないんじゃないの?」には、先のことはなんともいえないけど、勢いがついちゃってるからこのまましばらく消えることはないんじゃないかって思うよって答えておきました。

(外れたらどうしよう〜特に失うものはないけど。)

 

イエローマジックオーケストラとイエローミュージック

ちなみに、星野源が「イエローミュージック」って言ってるのは、細野さんがYMOを作るときの構想の「イエローマジック」からとってきているのではないかと思います。

 

今ちょっとイエローミュージックとイエローマジックを知ってる前提で書いてしまったけど、とっても簡単に言っちゃうと、どちらも、ホワイトでもブラックでもない、イエロー、つまり黄色人種である日本人の音楽・魔法、っていう意味で二人とも使っていると思っています。

 

YMOイエローマジックオーケストラ)の凄いところって、コンピューターを使った音楽が斬新だった、とかもありますが、忘れてはいけないのは イエローマジック っていうコンセプト・構想じゃないかと思っています。

これを考えたのは細野晴臣さんで、イエローマジックという言葉はYMOを始める前から曲のタイトルや歌詞で使っていたはずです。(イエローマジックカーニバルって曲があったと思う)

ですが、YMOの散開の後は細野さんは不思議な音楽を開拓し始めて、どんどんポピュラー音楽から遠い方に行ってしまいます。

絵の世界で例えるなら、YMOが古典的な具象絵画に対する印象派だとしたら、その後の細野さんは印象派から派生した抽象画に行く感じ。

 

星野源は、細野さんのそのアイデアを再びポピュラー音楽の中に戻して、今の時代に自分が好きなジャンル、ソウルとかブラックミュージックを歌謡曲にミックスする形でやり始めた、っていう感じがしています。

 

しかも、80年代以降のブラックミュージックには、YMOの影響もあるらしいんですよ、これが。

 

実はブラックミュージックを求めている? 日本人

'80年代はちょっとわからないけど、'90年代って久保田利伸とか中西圭三とか、ブラックミュージックの香りが強いJPOPが単発的に流行ったと思います。

EXILEChoo Choo Trainも、もともと'90年代のZooっていうダンスグループの曲で、曲を書いていたのは中西圭三です。(コーラスもしていたと思う)

 


ZOO Choo Choo TRAIN PV.flv

 

Choo Choo TRAIN

Choo Choo TRAIN

  • ZOO
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

このぐっとくる感じは何でしょう。ただ懐かしいだけではないと思う。

 

Woman

Woman

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 ソロ。一番好きな曲はiTunesで探せなかった・・。

 


久保田利伸 『LA・LA・LA LOVE SONG』

LA・LA・LA LOVE SONG(with NAOMI CAMPBELL)

LA・LA・LA LOVE SONG(with NAOMI CAMPBELL)

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 説明は割愛。しかもめっちゃ良い声。

 宇多田ヒカルもそうです。デビュー曲に一番出てる。

 

Automatic

Automatic

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こういう、ずっと同じ系譜でやっている人だけでなくて、色々音楽性が変わっている人の場合、例えば小沢健二の全盛期、オザケンって呼ばれてた時代の一番売れて人気があった曲って、ソウルを意識したアルバム『LIFE』の曲か、『痛快ウキウキ通り』みたいに『LIFE』に入ってないけどソウルとかブラックミュージックをポップスに取り入れた曲です。

一転、ジャズ寄りになったアルバムは、それに比べると一般人気は低かったかな?と。

 

この傾向を見ても、日本人は意外とそういうのが好きらしい、っていうこともなんとなくわかると思います。

 

だから、なぜか日本人の中にブラックミュージックを欲する心って潜在的にあると思うんです、たぶん。それも結構昔から。

それで、がっつりファンキーな本物より、耳慣れた歌謡ポップスが心地よい。

だから、星野源がやっている「イエローミュージック」って、意外と日本人の歌心にヒットすることをストレートにやっているような気がします。

 

「イエローミュージック」っていうのも、奇をてらったようなものには感じなくて、日本人に刺さる条件は割と揃っていた、というか、'90年代を過ごした人間としては、一度途切れてしまった久保田利伸的な、中西圭三的な、そういうの、また出て来ないかな、って待っていたところがちょっとあります。

だから『SUN』が出てきたとき、久々にきた、この感じって思った記憶。

 

SUN

SUN

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『恋』と『逃げ恥』と星野源

『恋』がリリースされたのって『逃げ恥』が始まる前でしたよね、たぶん。

『逃げ恥』が始まる時って、新垣結衣の相手役が星野源って人になってるけど、この人誰?っていう状態だったのではないでしょうか、世間的・ドラマ的に。

ガッキーの相手役、っていうクラスの俳優さんではなかったと思います。当時。(といってもほんの1年に満たない時の話なんですよね)

 

それで、終わってみたら、『逃げ恥』はお化け番組になっていて、平匡さん、イコール、星野源、イコール、『恋』になっていた。

つまり星野源は誰もが知る人にもなった。

 

さらに『恋』っていう曲は、曲も歌詞もよく練られてて、さらに素敵な振り付けのダンスもついていた。

ダンスは、一見難しそうだけど、特にドラマ版は簡略化されていて、ほぼ上半身と手の動きで踊れるので、やってみると結構みんな踊れちゃうという。

 

さらにドラマが終わっても、紅白があり、春の甲子園入場曲にもなって、じわじわと下火が消えなかった。

 

そんなこともあって『逃げ恥』と『恋』の以前、以後では、世間の「星野源」という人に対する見方が全く変わっていると思います。

『逃げ恥』『恋』以後の星野源は、「スター」になっているのではないでしょうか。

 

ここまであったまったところで、出した曲が売れないわけない気がします。

しかも、すごいクオリティで遊び心満載のミュージックビデオを作ってきてましたし。

 

さらに、タイアップ2曲が入ってるから、2曲で両A面シングル、ってしてもいいところ、そこに4曲入れてくれるサービス精神がたまらない。

 

カップリング曲っておまけ扱いのことが多いけど、それでいて、シングル4曲とも良いんですよ。ちょっとしたミニアルバムみたいなテーマ性があって、4曲とも心地よいリズムの水脈が根底に流れているので、寝る前に聴いて寝落ちも可能です。

 

解散したSMAPの空白を埋めるもの

さらに余計なことを言ってしまうと、SMAPが解散してしまった今、みんながスマップに潜在的に求めていた心のよりどころ的なものを失って、その受け皿を探していた、それにフィットするものとして星野源の新曲が求められているのではないかなという気がちょっとしています、実は。

 

 『恋』っていう曲が、全ての人を受け入れるような歌だった、っていうのもあるし、今回の『Family Song』って、一人一人違うみんなの幸せを祈ったり、そっと背中を押したりしているところが、どことなくスマップの歌っていた歌みたいな香りもするように思います。

 

そういう状況の中で、SMAPがいなくなった空白を埋める「何か」として、この曲が迎えられたような感じがしています。

・・・今そう判断するのはちょっと早いかもしれないですけど。

 

ナンバーワンになれなくてもいい

もともと特別なオンリーワン ー世界で一つだけの花

 

あなたは 何処でも行ける

あなたは 何にでもなれる ーFamily Song

 

例えばこの二つのフレーズは、反対のことを言っているようで、突き詰めると「あなた」つまり聴き手を、丸ごと受け入れて、全てを肯定している、という意味において、同じことを言っているのではないかと考えられるのですが・・・どうでしょう。

 

SMAPが担っていたみんなの心の拠り所的なポジションが空白になった今、星野源がこれに応える器があるとするならば、星野源ってもしかしたら今までのSMAP的な存在になり得る可能性が出てきてしまったのかも、って新曲を聴いて思っています。

 

歌う、踊る、芝居をする、コントをする、トークをする、人前に立つ(アイドル)、コンサートでたくさんの人を楽しませるっていうSMAPがやってきたことが、考えてみると星野源っていう人には、全部可能なんですよね。(あ、星野源も、割とアイドル的な目で見ている人もいるみたいなので)

なおかつ音楽も作れる、演奏もできる。

 

ただ、5人でやっていたスマップを一人の人が一手に引き受けるのは無理な話だと思うので、一人の人間ができる範囲で、その空白を埋める存在になり得る可能性があるかもしれないね、って感じで捉えていただけると助かります。

 

なんかすっごい大それた話になってしまったかもだけど、大病で倒れたこともある人なので、とりあえず、星野源さんには身体に気をつけて頑張ってほしいなと思います。

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