mirayeeh!:音楽がきこえるブログ

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ぼくのりりっくのぼうよみ歌詞から見るデビュー前後の心境の変化4「つきとさなぎ」「BlackBird」対比表現/Noah'sArk岡崎体育対談

SKY's the limit/つきとさなぎ

ぼくのりりっくのぼうよみの「Black Bird」と「つきとさなぎ」についての話の続きです。

 

曲はそれぞれ、黒い鳥、さなぎ、っていうモチーフをぼくりりが眺めながらそれぞれのモチーフに励ましの声をかけてて、それを歌にしている、っていう構図は同じです。

 

「つきとさなぎ」に見るメジャーデビュー後の心境の変化

Black Bird」に対して「つきとさなぎ」の方には、メジャーデビュー後の心境の変化が出ている気がします。

 

  

この曲です。

 

知らない振りで誤魔化しても

心は泣いてるんだよ

実は、ここの歌詞は唐突で、何を知らない振りしてごまかしてるのかわからないし、誰が泣いてるのかもわからない。

ものすごく引っかかってた箇所です。

 

ぼくのりりっくのぼうよみと同じレーベルにSANAGABUN.というグループがいるのですが、このグループに、ぼくりりが楽器が弾けない弱みにつけ込まれてバカにされている、それ知らない振りしてるけど傷ついてる、ってことかもしれないな、っていうことに気がついたので、それってちょっとどうなの、って思っています。(1回目の記事)

 

 

piria.hatenablog.com

 

歌詞の続きです。

 


中途半端な言葉の綾

(中略)

繭は繭のまま音もなく消滅

ここは、わざとわかりにくく書いているのではないかと思います。

おそらく表現者として成功することを夢みながら諦めたりしがみついたりしている人たちを俯瞰して語ってるのかな。
アルバム「Noah's Ark」の楽曲群の皮肉的な歌詞をここで言い換えて使っているような感じがします。

 

ただこの下の箇所に関してはぼくのりりっくのぼうよみ自身のことかな、って気がします。

回顧しよう暗い過去書いた言葉は塞いだよ 奥底へ


自分の(暗い)過去の経験を言葉にしてみたけど、それは出すのやめちゃった、って意味かなと読んでいます。


ノアズアーク」みたいな難しいテーマ選ぶよりも、それを出した方が共感得られそうだけれど、ただ、まだ生々しい記憶だと、作品にはできなかったりはするかもしれないですね。

 

そこから

日の目浴びることなく繭は繭のまま音もなく消滅

って続くんだけど、出すの辞めちゃった言葉=日の目を見ない、ってことと、繭ってフレーズを出して、自分の創作の話からスムーズに話をさなぎのことに戻して重ねてくるところとかは、なかなかの力技だな、と思います。

 


花を咲かすことを夢見つつ 言い訳を唱えたら 何かが変わるのかい?


ここの歌詞は表現しようとしてる人を励ましてる部分かな、と思ったんですが、

ちょっと違う意味もあるかもしれない(っていうのを1回目に書いています。)

 

ありのままを照らす月になって 君のことを見守ってる

その不器用な翅で羽撃いて

こういうところ見るとちょっとやさしいとこあるんだねって思う。


ここでぼくのりりっくのぼうよみは月になっています。
ただ、ここだけ声にエフェクトかけて聞きづらくなっていて。

 

扇風機でいったら(たとえがどうかと思うけど)

<花を咲かすこと〜>が微風

<ありのままを照らす〜>が弱風


誤解と戸惑いがいつも付き纏うけど

気にしないで 進めばいい

ここもぼくりりのやさしいところが出てる箇所。
アーティストとしてやっていく、ってことは、よく知らない人に誤解されたり、道なき道を進むようで戸惑うことも多いけど、
気にしないで進めばいい

 

この記事の1回目に書いたことを踏まえれば、自分自身にもそう言ってるようにも聴こえる箇所です。

 

ずっと君を視てるよ Oh baby 

柄じゃないのは知ってる でも照らすよ 

ねえ try it again...

自分もそんなこと言えた柄じゃないけど、そんな君のことをみてるよ、
もう一度頑張ってみて、って。 

<柄じゃないのは知ってる>っていうのは自信を喪失して、自分もそういうこと言える立場じゃない、って知ってる、って言ってる感じがして、表向きに見せる強気さとのこの違和感がね。

 

 「つきとさなぎ」「BlackBird」対比表現

この2曲は似ているかも、って思ったのは、構成が似てるかなって思ったり、対になる表現があったりしたからなのですが、

「つきとさなぎ」「BlackBird」この2曲に類似する表現や対になる表現を抜き出すとこんな感じ。

 

まず曲はこんな感じ

Black Bird

Black Bird

 

「そっと食んだコンクリート」/「Black Bird


「喰んだ泥」/「つきとさなぎ」

(見慣れない表現する上に難しい漢字をあてるようになっている) 

 

ぐるぐるとまわるちきゅうにくらくらしちゃう「Black Bird


ここ(ちきゅう)には僕の居場所は無い「つきとさなぎ」

歌詞にここ、って書いて、ちきゅう、って歌唱するあたりを見ると、
どうも意識的に対比として作った可能性もあるかな。

 

あのときは晴れやかな気持ちでこれから羽ばたけると思ったのに、今はこんな追いつめられた気持ちになっちゃった、って、その時作ったこの曲を思い出しながら書いたのかも、って。

 

 

Black Bird」では、世の中、というより自分自身の比較的身近な周りの環境に対する不満と鬱憤と、今ならそこから脱出できそう、っていう希望を描いてる感じがします。


「つきとさなぎ」では、一応アーティストとして羽化した自分が、これから表現をしようとしてる人を励ましてるんですけど

その中に、飛べない羽みたいだ、笑える、といったフレーズを混ぜてきて、そういうところにデビューしてからうまくいっていそうでいて、実はそうでもないかもしれない、ぼくのりりっくのぼうよみが抱えてる不思議な不安感が伺えます。

 

逆に、「Black Bird」にあるような希望が「つきとさなぎ」にはあまり感じられないんです。

それが不思議だったんです。名前も売れて、仕事もいっぱい来て、うまくいってるように見えるので。

 

Black Bird」のモチーフである「黒い鳥」はぼくりり自身なんだけど、「つきとさなぎ」のモチーフである「さなぎ」は、もう自分自身ではなくなっています。

ここでぼくりりは「さなぎ」を照らす「月」になっている。

ただし、同時に、羽化したけど、殻にくっついたままで飛べない、とも言っています。

 

自分は殻にくっついたままで飛べない羽みたいだ、って自分自身感じているのに、ちょっと頑張って、自分は月になってさなぎを照らしてる、という歌を作った。

なぜかというと、「仕事」としてオファーが来てしまって、断れるような立場でもないから、ではないかなと。(推測)

 

ただ、心境としてはとても太陽って気分じゃない、と思っているから、月というモチーフに自分を託した。

 

ただ、片面ではさんらーいずひかりつつまれて私が輝くっていう太陽さんさんの歌を歌っています。これもANESSAのタイアップで。

 

2曲あるうち片方が太陽で、片方が月。歌う内容も陽と陰で同じ人が同じ時期に作ったとは思えないほんとに奇妙な両A面シングル。

 

ラストのフレーズはどちらも空が描かれています。その表現が対照的です。


黒い空が晴れ渡る

この広い空はお前のお前だけのものだ /blackbird

 

めぐるめぐる 日々のまま

見上げた空には blue moon /つきとさなぎ

Black Bird」のラストは、昼間の空で、それまで黒かった空がぱっと晴れ渡るイメージが浮かびます。

それで、「この空ならもう飛べるんじゃない、この広い空はお前だけのものだ」っていう歌詞には、晴れやかで、かなり希望と自身に満ちた雰囲気が出ていると思います。

(歌い方はそうでもないけど)

「お前のお前だけのものだ」って繰り返してるので特に。

 

一方、巡る日々のまま「つきとさなぎ」の空は夜(なんとなく夕方のイメージ)で、ブルームーンが出ている。

 

よく気分がよくない時、ブルーって言いますよね。
ブルームーンはなかなか見られない珍しい月だけど、blueって単語は気分としてはちょっと不安感を感じさせる言葉ではないかと思います。

 


もし空見上げて満月が青かったら、珍しい、きれい、って思うと同時に、ちょっと不吉な感じもすると思うんです。
どうして今日月が青いんだろう、何か悪いことが起こるんじゃないかって。

ブルームーンを見ると昔の人は思ったとか。

 

もしここがfull moon(満月)だったら充実してるっていうイメージだけど、そこをblue moonにしたところに、充実感より、不安・不穏な気分が表されている気がしています。
(blue moonの方がこの曲の雰囲気には合うので、曲に引っ張られた可能性もあります)


それから、ぼくりりはさっきの歌詞では誰かを照らす月になったはずなのに、ここでは一人の人間として、月を見上げています。

なのでさっきの月は擬人化した月、ということですよね。

 

この曲聴いてると、ぼくりりは表面上はうまくいってるように見えて、本人の内面は結構行き詰まってるのかもしれないな、という気がしちゃうんです。

 

「 Be Noble(re-build)」で変わらない世界ごと受け止めるしかないって決意を表明したほんの2ヶ月後に、こういうブルーな気持ちを出しちゃうのって何なのかな、って。

(原因がこれかな、っていうのを1回目に書いてます。)

 

「つきとさなぎ」に見られるぼくのりりっくのぼうよみの成長 

「つきとさなぎ」で「知らないでいられたらどんなに幸せだったろう」とか「ここ(ちきゅう)には僕の居場所は無い」って言うのは、それはちょっと甘えてるような、って思わないではなかったのですが、裏でこういう事情があったなら、逆に気の毒になるんですよね。

  

これ自分のこと?こんなこと言われてるの?って傷ついて、弱みをつつかれて、居場所がないって感じて、でもタイアップの話がきて、仕事だからこんな気持ちでも曲を書かなきゃいけない。

 だから「知らない振りして誤摩化しても心は泣いてるんだよ」「柄じゃないのは知ってる でも照らすよ」っていう歌詞になったのかなと。

  

 曲として、音として聴いた場合、「つきとさなぎ」の方が面白みがあるし、クオリティは高いかもしれないけど、歌い方、雰囲気を含めてだと「Black Bird」の方がわたしは好きかなと思っていました。

 

でも、そういう事情があったのか、っていうことを踏まえれば、なんだか寂しそうに歌ってるのもわかります。

それから、もう「Black Bird」にあったような鬱憤は吐かなくなっていて、そこは変わったなと思うところです。

 

(そして、これまで鬱憤書いてたのが書かなくなるのがYONCE(Suchmos)の書いた新曲のOVERSTANDと同じ)

  

OVERSTAND

OVERSTAND

 配信だとYMM入れて3曲入ってるんだけど、このYMM→(メジャーデビュー)→OVERSTANDの変化も、

ぼくりりの「blackbird」→「つきとさなぎ」 みたいで聴き比べるとおもしろい。

 

これを踏まえると、「blackbird」から「つきとさなぎ」の変化は、ぼくりりの中でレベルアップしたのかな、っていう評価に変わります。

 

レベルアップした、と思うのはどういうところかというと、

blackbirdの時の<お前ら全員ばかばっか>とか<ろくでもない世界に告げる終わり>みたいにまわりのせいにしなくなってるところ。

 

これは、after thatでこういう歌詞を作って歌ったのをちゃんと守ってるな、と思いました。

悪いのは誰? 周りの環境や嫌いな誰かのせい?

違う 縛るのは他人じゃなくて自分自身のせい

 

after that

after that

 なにげにジャズ風。

 

 

それから、SANABAGUN.の「ラップクルーこれdisってこいよ」をかわして、心は泣いてる、つまり傷ついている、やめてよって気持ちを表しつつ、

あなたたちも上に行きたいんでしょう、でもやってることは生産的じゃない、って暗に指摘しているポイントが入ってるところ。(これは見方によっては、になるけど)

 

それから、自分が辛い気持ちだったかもしれないけど、人を励ますっていうテーマでタイアップの曲を作る、っていうプロとしての仕事を全うしたところ。

 

だから、「つきとさなぎ」は、最初聴いたとき、やめてよ、とか、知らない振りで誤摩化しても心は泣いてるんだよ、に引っかかりつつ、

ちょっとこの子は甘えたことを言ってるような気が・・・しなくもなかったのですが、

 

今は、この仕事はちょっと辛かったかもね、だけど、よくやり遂げたな、と思っています。

 

そして、さっぱり更新されなかったこのサイトが何ヶ月かぶりに更新されたのですが、やっぱり自信喪失して、さらに音楽に対する興味を失っている、って話をしています。あらら。

noahs-ark.click

悪口のことも。ネットの悪口については、どんなに軽い気持ちで言ってるか、自分が言ってる側だったからわかるので、気にならない、って他の対談で言っていたのですが・・・。

 

自分への悪口を見ると、しんどくないですか? 相手が幼いだけだと頭ではわかるけれども、悪口ってなんか毒みたいに蓄積していくところがある、気がします。 -ぼくのりりっくのぼうよみ

岡崎体育は、これについて、自分が常に第一線にいること、って答えてます。これも凄いよね)

 

それより身近な人にやんわり指摘される方が傷つく、って言ってるので、これはネットの匿名の悪口っていうわけではなさそうです。

批判されてるイメージないけど、何言われてるん?ってきかれて、「まあ、顔がうざい程度な感じです」って言ってさらっと岡崎体育のことに話題を変えてますね。さすが。(なにが)

 

岡崎体育に色々励まされてるけど、相づち打つような反応がないし、じじいになったらまた対談しよう、って言われてるのに、そうなったらいいですね、的な返事がなかったです。

なので、最終的にぼくのりりっくのぼうよみがこの対談で何を思ったのかがわからないまま、終わっている感じがします。

(早々にデビューしちゃった人と立場が違うから、言われてることはわかるけど、なぐさめにならないんだろうな)

・・・ちょっと重症だね。

 

 (これ聴いてるから思い出しちゃった)

Let It Out

Let It Out

< しっかりしなよって言って肩を叩いても反応がなく 重症だね>

※注1:全然シチュエーションが違います。

※注2 : 普通におすすめのアルバムです。

※注3:cero高城晶平作詞です。

 

大丈夫かな。戻っておいで。

You can" Let It Out", babe.

 

これ読んでると、どういうわけか、フリッパーズ3rdの頃の小沢健二の迷いっていうのがわかってくる、と思うので、機会があったらそれ書きます。 

 

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