ぼくのりりっくのぼうよみ歌詞から見るデビュー前後の心境の変化2「BlackBird」を聴く
ぼくりりがデビュー時に作った曲と今年作った曲を聴き比べて、デビュー前後の心境の変化を聴き取ろう、という企画(?)2回目です。
この二つはぼくりりの曲の中でも良く聴かれてるみたいです。
(わたしのipod調べ)
今年出した「つきとさなぎ」と、
ファーストアルバムの
に収められている「Black Bird」は歌詞のモチーフと構図が非常によく似ています。
「Black Bird」は、「羽が黒いだけでこんなに暮らしにくい世の中」って嘆く黒い鳥(からす)に
そんなことないだろ、「この広い空はお前だけのものだよ」って語りかける。
「つきとさなぎ」は、「つき」が「さなぎ」に「その不器用な翅(はね)で羽撃(はばた)いて」って励ましている。
励ますっていっても、「もっと頑張れよ」っていうより、見守ってるよ、っていう感じなので、うっとうしくない。
どちらもそこにぼくりり自身の心情を折り込んでいます。
この2曲はノアズアークみたいに難しくない、っていうのと、切ない曲調の中にも聴いてて励まされる、っていうのが理由にあるのかなと思います。
ウルフルズの「ガッツだぜ」みたいなアゲアゲの応援じゃなくて、ふんわり寄り添ってる感じの応援。
これはこれで元気出ます。
この2曲、歌詞のモチーフや構成が似ているんですが、変化してることがあります。それは立場が変わったから、ということが一つあって、もう一つは1回目に書いたこと。
最初に「Black Bird」、次に「つきとさなぎ」について書いて、2つの曲の歌詞の変化を書きます。
それから、「Black Bird」はメジャーデビューが決まった時の心境を描いた曲かな、って思ってるんですが、
それがまたSuchmosのYONCEが今回の(メジャーデビューにあたっての)心境を歌にしたOVERSTANDに似てるところがあるので、似てるところ、違うところを書こうかな、という感じです。
だからあと2回、OVERSTANDの話を書くとしたらプラスもう1回っていう感じです。
ぼくのりりっくのぼうよみ「blackbird」の歌詞を聴く
「Black Bird」は割と当時の本人の心情が素直に出てるみたいです。
曲はアコースティックで、歌い方が柔らかくてやさしいので聴いてて気持ちいいです。
とりあえず 聴いてみましょう。
なんせ羽が黒いだけでこんなに暮らしにくい世の中で
(中略) 全てがイドラで下らないものだと 黒い鳥は決めつけて啼いた
主人公が黒い鳥に自分を重ねています。
主人公はたぶん当時のぼくりり自身。
世の中に生きづらさを感じていて、全てがイドラで下らない、って決めつけている。
用語解説:
イドラは哲学用語で、物事を正しい目でみられなくなる先入観、偏見みたいなもの。フランシス・ベーコンが提唱。
高校生でこんな言葉よく知ってるね。
歌詞にはないのですが、歌い始めに、「お前ら全員ばかばっか」ってつぶやきみたいなものが入ってるんです。
だから、自分が生きづらいのはこの世の中が悪いせいだ、羽が黒い遺伝子のせいだ、ってこの時は思っているみたいですね。
無駄なものなどひとつもないと 奇を衒うことに必死になって
だけど、無駄なものは一つもない、黒い鳥なら黒い鳥なりにできることがあるだろう、って、頑張ってみる。
自分は正攻法ではだめみたいだから、裏をかこうとして、奇をてらうことに必死になって、でも疲れちゃった。
ひびわれた 爪で手首(ここ)に傷を残そうよ
「爪で手首(ここ)に傷を残そうよ」ってところはリストカットを連想させます。
この場合は本気のじゃなくて、人の気を引くためにするタイプのそれで
実際やらないとは思うんですけど、ちょっと心の弱さを感じさせるフレーズです。
自分で作った籠の中自分の毒に溺れ死ぬカラス
空回りする
自分で自分をカゴの中に閉じ込めてがんじがらめにして、自家中毒になってるからすの姿。
それを自分に重ねて自虐をしています。
このへん、かご、からす、からまわり、とか韻を踏んでてリズムがいい。
一人が寂しすぎて勘繰り
「勘繰り」は「ノアズアーク」の「Liar」にも出てきます。
「Liar」ではぼくりりは世の中を観察してこう言ってるようで、自分もそうなんです。
しかも「一人が寂しすぎて」ってぼくりりは中学・高校時代は結構孤独な学生生活を送ってそう・・。
ただ「かんぐり」と「こんくり」で韻を踏むため、という意味もあります。
それが、ここからちょっと変わる。
変われるの?こんな僕でもろくでもない世界に 告げる終わり
ここの歌詞は、メジャーデビューが決まって、新しい世界に行けるのかな、っていう期待。それを<変われるの?こんな僕でも>って言っているのかなと思っています。
そして、ここではまだ「ろくでもない世界」って自分のまわりの環境のことを言ってるようですね。
black bird 良かったな お前には翼がある
これは黒い鳥に語りかけてるようで、ぼくりりが自分自身に語りかけている。
「良かったなお前には翼がある」ここは、自分のやっていたラップ・・みたいなもの、が認められたことに対して、その才能を「翼」って言っていると思います。
黒い空が晴れ渡る この天気なら 飛べるんじゃないの
この広い空はお前のお前だけのものだ
ここの歌詞とか、すごくやさしい感じがします、歌い方含めて。
だから、聴いてる方も気持ちよく聴けるんですね。
「黒い空が晴れ渡る」は、それまでうつうつとして過ごしていた(?かどうか良く知らないけどそんな雰囲気の歌詞)だけど、レコード会社から声がかかって、世界が開けたような気がしたこと
「この天気なら飛べるんじゃないの」
この辺りは、メジャーデビューが決まって、晴れやかな気持ち、
「この広い空はお前だけのものだ」っていうフレーズで自信に満ちていることがわかります。
もう誰も気にしなくていいだろう
でも、こういう歌詞が入っちゃうってところに、ぼくりりが人目を気にする一面を持ってることが現れています。(人目を気にするフレーズは色々なところに出てきます)
なので、「Black Bird」は、中高生だったぼくりりが、自分の周りの環境に不満を持っていて、周りも自分も決めつけをしていたこと
「I deceived other everyone」
(これは歌ってるとこは聴こえないんですけど、歌詞にある)
「I deceived even myself」
そして動画投稿して鬱憤を発散していたら、それが認められて、音楽という分野で声がかかって、これで新しい世界が開けるかも、っていうことになった、って言う経緯を、「黒い鳥」に自分を重ねて描いた曲じゃないかと思っています。
デビュー前の心境を歌った「Black Bird」に対して、
「つきとさなぎ」
ではデビュー後の心境を出しているみたいです。
2曲を聴き比べると、デビュー前、デビュー後でぼくりりの心境がどう変わったか、今どんな気持ちでいるかがわかります。
なので、次に「つきとさなぎ」の歌詞を解説をしようと思います。
「つきとさなぎ」がblackbirdほど希望に満ちてないのがちょっと悲しいんだけど、成長したな、って思うところもあります。
そんな「つきとさなぎ」について次に書きます。