CorneliusコーネリアスMellowWavesは歌詞を聴け。3 Helix/Spiral, Mellow Yellow Feel
の後半部分の解説の続きです。
今回は06.07.について書きます。
06.「helix Spiral」は、「point」「Sensuous」あたりにもありそうだった曲だけど、かなり色々な意味に取れる曲。
歌詞をみると、単純な単語が並んでいるだけなのですが、物理学的哲学的な抽象概念を扱っているようにも見えます。(小山田にそういう意図があるかはわからない)
07.「Mellow Yellow Feel」は歌もの。
05.「夢の中で」と同様、やっぱりコーネリアス小山田圭吾が現実と空想のぼんやりした世界に漂っていること、
そして、08.「The Spell of a Vanishing Loveliness」 への導入にもなっています。
このインタビューに、記事書き始めて今更気づいたんだけど、 このアルバムの中で07.「Mellow Yellow Feel」が一番最初にできた曲らしいです。
聴こう。
06.helix Spiral
つまり、HelixとSpiralがループする曲です。
これは先行で出ていたアナログ盤の「あなたがいるなら」の裏面に収録されていました。
- アーティスト: Cornelius,Keigo Oyamada
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2017/04/26
- メディア: LP Record
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あーこれ買っとけばよかった、って思ってます。(プレーヤーないけど)
要らなくなった人は中古屋さんに流してください。捨てないで。
このアルバム聴いてから後悔した。
(デジタルな音がアナログから聴こえるって不思議だよね)
この曲もコーネリアスが歌ってますが、エフェクトかけて別人の声に聴こえます。
ちょっとこの声がいびつな感じで、人間の声って感じじゃないのです。
この曲だけなぜこんな声にするのか。
helixもSpiralも意味は螺旋なんですが、helixが「つる巻き」でSpiralが「うず巻き」
HelixもSpiralも、Times, Turn, Changing, Looping, Moving, といった言葉にかかっています。
この歌詞の意味ですが、おそらく時間の話かなと思いました。
時間というものは、時計を見るていると直進しているように感じますが、実はまっすぐには進まないで、ぐるぐる螺旋を描きながら進んでいくと思うんです。
その中で、時にturnしたり、changeしたりLoopすることもありつつ、でも螺旋状にだんだん進んで行く。
今も、その渦巻きの中のどこかにいる。
時間がHelixのまま進めば問題ないかもしれないけど、Spiralになるとこんがらがる。
Helixである時間が、途中でTurn, Changing, Looping, Movingもする。
(人生の転換期)
その中で、過去に自分のしたことが、思わぬ形で返ってきたりもする。
Spiralになったまま時間が経つと、取り返しがつかない状況になる。
その苦しみや皮肉な状況を、自分の声を歪な声に加工することで表現したのではないかな、と思っています。
他に考えられるのは、音楽が生まれて、再生されて、流行が終わって聴かれなくなったと思ったらふと将来誰かが音楽を発掘してまた再生して、っていう繰り返しのこととか。
例えば由紀さおりの昔の曲「夜明けのスキャット」をピンクマルティーニが再発見して違う時代、違う国(アメリカ)でリバイバルヒットしたりしましたよね。
コーネリアス自身の話で言えば、90年代に出したファンタズマが去年アメリカでリマスターが出て、高評価を受けている。
最初に出たの97年でした。
良い意味でとらえればそんな感じです。
だから、この話は03.未来の人へ、とも係わっている、と重います。
遺伝子のDNAも二重螺旋のhelix構造です。
あとジャケットの画像の(女性の・・が描かれてますね。)
ここから生まれて、死んで、生まれて、っていう繰り返し、という意味も考えられますね。
この歌の歌詞は、 HelixとSpiralと、他にいくつかの簡単な動詞しか言っていないのですが、ちょっといろんな意味が想像できる曲です、これは。
考えようによっては哲学的、物理学的なことを言っているのかも・・・?って考えだすとSpiralになる。(笑)
で、このアルバムの中のこの1曲だけ、声を加工をして歪で変な声に聴こえるようにしているのは、やっぱり苦しみ、っていう意味を強調してるように感じられるんです。
この声聴いてイメージするのは、 人間じゃなくて、私のイメージとしては、これ(画像ちいさくなんないかな)
スメアゴル、ていうキャラクターで、醜くて卑しい生き物、っていう位置づけだったと思います。
この声の加工の仕方は、小山田にしては自虐的だな、と。
そしてアナログ盤の「あなたがいるなら」の裏が「Herix/Spiral」っていう意味を考えてみると、「Herix/Spiral」意味がより具体的になります。
つまり、「Herix/Spiral」がこじれて、「あなたがいるなら」っていう状態になった。
(ピッチフォークが「あなたがいるなら」について<後悔に変わる前に>って書いたのもアナログ両面聴いて書いたならすごくよくわかる)
07.Mellow Yellow Feel
出た、Mellow Yellow。
Mellowって言われたら「Mellow Yellow(メローイエロー)」浮かんじゃうからなんか嬉しい。(単純)
「Mellow Yellow」っていう名前の炭酸飲料があったんです。今もあるのかな。
子供の頃よく見かけたちょっと懐かしい飲み物です。
この曲も05「夢の中で」.と一緒で、小山田圭吾は夢とうつつの間を行き来してる感じです。ぼんやり漂いながら、いろんなものを思い浮かべてる。
Hello Mellow Yellow Feel
Mellow Yellowって商品名になるくらいだから、そのままで語呂がいいのですが、そこにHelloを付けてさらにダメ押しの押韻。
サフラン、レモン、(ジャスミン)、ひよこ、カナリア、バナナ、と黄色いものを並べて、それぞれに色、かたち、手触り、香り、音、を感じています。
でも、それが一般的に連想されるものと一致していないんです。
そこにちょっとした違和感を感じます。
サフランの 香り
サフランといえば色、だけどここでは香りに意識が行っている(嗅覚)
レモンの 形
レモンと言えば、レモン色、あるいは香り、だけど、ここでは形に意識が行っている(視覚)
ジャスミンの 色
ジャスミンだったら香り、だけど、ここでは色、に意識が行ってる。(視覚)
ちなみにジャスミンの花の色は白で、一般的には黄色ではないんですよね。
(だからジャスミンだけカッコで括った)
ひよこの 手ざわり
ひよこといえば黄色、だけど、ここでは手触りに意識が行ってる(触覚)
カナリアの 声
カナリアといえば、声と色、両方イメージできるからここだけストレートだと思います。(聴覚)
バナナの イメージ
バナナといえば、色、形、味だと思いますが、ここではバナナのイメージに意識が行ってる。
ここでこの曲終わります。
それで、多分この曲は「バナナのイメージ」というこの歌詞を最後に持って来るためにある、と思うんです。
小山田圭吾でバナナのイメージ、といえば「グルーヴ・チューブ」です。
で、「groove tube」っていったらフリッパーズギター後期の代表曲。
この曲を聴いて、フリッパーズギターってユニットを思い出したところで、コーネリアスが次に置いて来た曲が08.「The Spell of a Vanishing Loveliness」です。
この曲にもフリッパーズギターっていうユニットを思い起こさせるフレーズが出てきます。
しかもこの歌詞がかなり意味深で。
「The Spell of a Vanishing Loveliness」は、これ曲はポップだけど、歌詞の内容は演歌じゃないかな。
コーネリアスの歌う演歌、斬新。
(ミキさんがメインで歌ってるけど、小山田も途中から一緒に歌ってます)
これは次回結構じっくり書きます。