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米ピッチフォークでCorneliusがベストニュートラックになったのでレビューを読む2(あなたがいるなら)

Mellow Waves

 

コーネリアスのアルバム

Mellow Waves

が出たので、それについて色々書いていたところで、米ピッチフォークでコーネリアスの「あなたがいるなら If you're here」がベストニュートラックになったのを知って、レビューを読んだ。

で、ちょっと重要なところを和訳してる記事です。

前回ピッチフォークと、ピッチフォークの中でのコーネリアスの扱いの説明が中心になっちゃって、「あなたがいるなら」のレビューについてはこっちがメインに色々書いています。

 

前回はこちら(色々平行して時間あいてしまった)

 

piria.hatenablog.com

 

 

続きから。

 

pitchfork.com

 

 

 

ここちょっと悩んだのでgoogle先生にききながら調べつつ訳す。

The lyrics underline this—written by Shintaro Sakamoto, they dwell on memories, the sort of sudden recollections that can make someone laugh one second, before switching to regret. 

 和訳by google先生

リリックは坂本慎太郎によって書かれ、彼らは思い出に住みます。それは後悔する前に、誰かが1秒笑うことができる突然の想い出のようなものです。

 

何がいいたいのかわかりそうでわからん。

 

ただ、先の文もhis love, his lylic って書いてあって、これは歌詞は坂本慎太郎が書いてるけど、コーネリアス小山田圭吾の心境でもある、ということをわかっている。

 

小山田自身が、「自分で書いて歌うのは照れくさいけど、歌わないから書ける、書いてないから歌える、そういう距離感で作れた」「ラブソング」っていうことを言っています。

www.cinra.net

 

後半がちょっと難しくてgoogle先生に教えてもらったまんまなので直していきます。

コーネリアス小山田圭吾が今、思い出の中に住んでることは確かです。

でも dwell on で、こだわる、っていう意味になるみたい。

後悔する前に 、っていうのもわかる。

(でも後悔する前に、ってアルバム聴く前にもしこの配信シングル聴いただけで、わかったとしたらすごい勘の良さ。アナログ聴いて、裏のHerix/Spiralも聴いたならわかる。)

で、 can make someone laugh one second っていうのがよくわからないんです。

特にsomeone laughが何なのか。笑いをとる音楽じゃないし。

色々悩んだのですが、今の結論としてはこんな感じ

 

拙訳

彼には突然わき起こる追憶があり、それは誰かにくすっと笑ってほしい、というような思い出。彼はそれにこだわっている、それが後悔に変わる前に。

  

これなら意味深ながら、全面的に同意できるんだけど。

 ポイントはここです。

 

それが後悔に変わる前に

 

 

And he’s still interested in seeing how spacious he can make his music,
with stretches here and there featuring only the slightest beat and synth,
letting every detail stand out.

ここもちょっと訳す。

彼はまだ自分がどれだけ広大な音楽を作ることができるかということに興味を持っている。

例えばここでは、わずかなビートとシンセの音だけが全てのディテールを際立たせている。

 

そうなんだよ。(ひざを打つ)

音が単純化されたことで逆に広がりを感じる。

ここでは spacious って単語使ってるけど、コーネリアスは宇宙っぽい音を作りますよね。

でもここでは宇宙ぽい音を出すんじゃなくて、音を控えることで、わずかな音を適切な位置に置くことで、音を通して宇宙のような広がりを見せてくれる。

 

日本人の得意な「間」とか、もっと深淵な「空」とかっていうのをこれ書いてる人は感じてるのかなと思います。

 

何もないところに何かを見る。

無音状態があるから、音が感じられるんだしね。

 

Cornelius’ is back, but he’s using his music to look inward, even if that means letting things get a little messy. 

最後のここ訳してみる

 

コーネリアスは復活したが、彼は少し厄介なことをあえてやっている。音楽を通して自分の内面を見つめるということを。

 

messyって、乱雑な、という意味もあるけど、厄介な、っていう意味もある。多分そっち。

(小山田がインタビューでこの曲はギターリフがラフ、って話をしてるから、そっちかな、とも思ったけど、それはそれでこの曲の良さだし、内面を見つめることとギターリフがラフなことはあまり関係ない。

それでレビューの前の方では、シンバルの音が言葉の意味に合わせてぴったり鳴ることを評価してて、ギターソロがこの曲に即興性を加えていて、それが過去のイメージと違う、と言ってるけど、それを否定はしていない。)

 

そうです。「あなたがいるなら」もそうだけど、このアルバムの曲全てそう。

音楽を通して自分の内面を見つめる

・・っていう、ほんとにめんどくさいことに取り組んだと思います。

a little messy どころか、アルバムでやったことは聴けば聴くほど 超 heavy だと思う。

わたしも最初に聴いたときはそうは思わなかったけど。

だから猿の惑星から地球を見下ろしてたコーネリアスが、猿の惑星から地上に降りてきてコーネリアスを脱いで地上の人小山田圭吾を見せてる感じがするし

この曲「あなたがいるなら」は、完成されて洗練された作品(歌い方は情緒的)

だけど、猿の惑星に住んでたコーネリアスが人間小山田圭吾なったから、未熟なところ、不完全なところ、本当は隠しておきたいであろうところ、アルバム(「Mellow Waves」)の方にはもろに出てるんですよね。

 

それをピッチフォークがどうレビューしてくるのかとても気になる。

(まさかスルーってことないよね)

 

「あなたがいるなら」には点数ついてないんです。ベストニュートラックに選ばれたから評価は高いとは思うのですが。

(あえて言うなら9点に限りなく近い8点台後半かな。日本人に9点以上ついたら驚く)

アルバム聴くまで評価保留、ってことなのかもしれない。

 

あと、この曲については「Very Relaxing」とも書いてあった。

(確かに聴いてると寝落ちします)

 

ピッチフォークのレビュー読むと、この曲「あなたがいるなら・If you're here」のことは「FANTASMA」ほどベタぼめしてないんですね。

レビュー読んでも、tofubeatsFANTASY CLUBみたいに「今年のJPOPでベストなアルバムの一つ」、みたいな言い方が出て来ないから、ほめてるのかけなしてるのか、ところどころすごく迷ったけど、それだけこのレビュー書いた人(とこの曲)が微妙な表現をしていて、高級な書き方なのかもしれないです。

 

じっくり読むと、結構慎重に扱ってるな、って感じがして、たぶん「今年のJPOPでベストな一つ」みたいなものとは、ちょっと別次元のものとして書いてる感じがしました。

  

あと、アメリカの人でも、この曲聴いて愛は感じてくれるんだ、って思って単純にうれしかったですね。

(あとは私小説的なアルバムの後半をどうとらえてくれるかだね・・・欧米人は私小説好まないからね・・・ただの私小説、を超える仕掛けもあるんだけど、ピッチフォークなら気づくかな。あ、これも説明します。)

 

ちなみにコーネリアスの過去作はファンタズマ8.8点、ポイント7.8点、センシュアス7.8点

わたしもこれとほぼ同意見です。

コーネリアス名義の過去の作品の中ではFantasmaが飛び抜けてると思う。

思い出補正もあるかなと思ってまたFantasma聴いてるんだけど、

(私の持ってるのはやっぱり音質がちょっとよろしくない。リマスター欲しい。)

わたし的には「Mellow Waves」はFantasmaを超えたかも、って思ってます。

ただ20代だったらFantasmaの方がいいって思ったかもしれないですね。


ちなみに最近の日本人だときゃりーぱみゅぱみゅがレビューされてて、だいたい6点台だった。宇多田ヒカルFantômeはアメリカでも売れた(ビルボード1位)みたいだけど、レビューはスルー。

ピッチフォークのレビュー(点数)、じゃあ、10点満点のってどんなだ、って聴いてみたけど、洋楽だと納得いったりいかなかったりなんですが(英語だと歌詞がわからないし)

 

Fantasmaのレビュー読んでても、コーネリアスに関して書かれてることは結構信用できる気がするんです。


さあ、ピッチフォークが、日本語歌詞で、一部英語歌詞の「Mellow Waves」に何点つけてくるのか、どんなレビュー書いてくるのか。

 

ちなみに「いつか/どこか」はまだ何も触れられてなかったです。

「あなたがいるなら」に spacious を感じてくれるピッチフォークさんなら

「死」をポップに表現した「いつか/どこか」も好きそうな気がするし、それをレビューでどう表現してくれるか気になる。

 

音楽について書く、ってすごく難しくて、だからあえてそういうことをこのブログではやっている、っていうところもあるんだけど、よっぽど書きたい対象じゃないと、書けないし、書きたいと思っても、どうしても言葉が出てこない音楽もある。

(右脳にインプットされてきたものを左脳でアウトプットする困難さみたいな)

とりあえずMellow Wavesは、どうしても書きたい対象、ではあるので、

Mellow Waves の解説も引き続き書き続けます。

Mellow Waves

Mellow Waves

 

 

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