mirayeeh!:音楽がきこえるブログ

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SuchmosのFirst Choice Last Stance(WIPER/OVERSTAND/YMM)歌詞ありで聴いてみた

AERA 2017年 7/3 号【表紙:Suchmos(サチモス)】雑誌

F.C.L.S設立でSuchmosはどう変わるか?って記事を書いてる途中で、リリースされた

FIRST CHOICE LAST STANCE


後半は、これを一度聴いてから書こう、と思ってました。

 

piria.hatenablog.com

 


で、FIRST CHOICE LAST STANCEが出たので聞き取れなかった歌詞も見つつ聴けたので、歌詞の内容がどんな感じか紹介します。

 

WIPER

 

WIPER

WIPER


ショートフィルムで流れたWiper。これはHSU作詞、ってこともあって、曲はかっこいいけど、歌詞は皮肉的です。

 

「ワイパー」は、車のワイパーと、テレビ画面のワイプ画面をかけてる。

(ワイプ画面は、バラエティとかワイドショーでVTR流してるとき、ひな壇に並んで座ってる人とかコメンテーターが顔を抜かれる小さい窓)

 

テレビ見てても、誰も本音は言わない、マスコミが流す世界は狭くて暗い、そんなじゃれ合いでなれ合いなノイズに用はない、そんなものはワイパーで洗い流せ、今日のニュースは2週間後にはゴミになる、テレビ画面のワイプに映るタレントはニュース見て哀しそうな顔したり神妙な顔してみたり泣いてみたり、でも腹の中で何考えてるかわかったもんじゃない。

一歩引いて守りに入る芸がない芸人。使えない意味のないコメンテーターのコメント、自分の縄張り守るのに必死、そういうもの(人)はみんなワイパーで洗い流せ。


そういう曲です。

STAY TUNEの「広くて浅いやつもうGood Night」と同じ意味のことを、今度は「都会」から「マスコミ」に対象を変えて言い換えてる感じかな。

 

What do you want to say You know? Head Shot

One day Two week went to dust. One Shot

で、ちょっとかっこよく聴こえるここの歌詞なんですけど、

Head Shot(銃で頭を打ち抜く)とOne Shot(一回限りの上映)をかけてて
結局あんたら何が言いたいの、一回頭ぶち抜かれたら?
今日のニュースは2週間後にはゴミ、一回しか上映されないような何も残んないつまんない映画と一緒。(ニュースなんてそんなもんだから必死にかじりつくようなもんじゃないよ)

っていう感じかな、と思います。

でもサンプリングでOne Shot killって入ってるみたいだから、もっと過激かも。

 

皮肉は皮肉だけど、alrightほど過激じゃなくGAGAほど辛辣じゃない。

(この2曲の解説あとでします。) 

 

OVERSTAND

 

OVERSTAND

OVERSTAND


こっちはYONCE作詞。すごく素直な曲です。

そしてとてもスケール感を感じる。


こっちはミディアムからスローテンポのバラード風なんですが、イントロの電子楽器の音が気持ちいい。

それに波の音をサンプリング、つまり、自然の音と、機械的な音のバランスが良くて、歌詞にとても合ってる。

部分的に(多分メンバー自身が)コーラスもしてて、それがちょっとぎこちないんだけど、ゴスペル風なところがSuchmosらしい。

 

それに、サンプリングかとおもいきや、電子音響で波の音・水の音的な音も作ってるみたいです。

これ、キーボードだけでできるのかな。シンセサイザー使ってる?

ちょっと「Through the Looking Glass」的なことをしてるな、って思いました。(このアルバムもすごく面白いので後で紹介する)

 

私は歌詞も音もWIPERよりこっちの曲が好きなんですけど。

Suchmosの曲の中でもしかしたら一番くらい好きかもしれない。

  

この曲のテーマは「わかりたい わからない気持ち」「重ねた手のひらが導く」って出て来るから、ラブソングかと思わせて、「I&I あなたは私」


つまり、こっからまだ見たことのない世界を見たい、遠く遠くへっていうYONCEが自身の決意を歌っている歌。


それがとってもナチュラルで素直なんだけど、そこにほんのちょっとの揺らぎ成分もあって、そこがまさにとても良いのですよ。

 

 広い世界に出て行く、もっと大きな世界が見られるっていうことへの期待の大きさと、それにちょっと心が震える感じが歌に出てる気がして。

 

生まれたての波が 優しく 脚を撫ぜる 

こういう表現いいなと思います。海のそばから離れられないYONCEらしい

 

「このままではいられない」とささやいている

 この揺らぎ成分が、今までのSuchmosになかった感じ。

 

神のみぞ知るのか? 違うだろ? 人と人だけが頼りだ

ここちょっとYONCEメイン、って感じでもなくてコーラスが重なって、それがゴスペル風に聴こえるんです。

このパートにはちょっとしたカタルシスがある。

みんなで合唱してるんですよ。なんかかわいいじゃないか。

 

こういう人間を信じてるところが、やつらは小沢健二と同じこと考えてるな、とわたしが思う理由なんです。

 

piria.hatenablog.com

 


小沢健二は「神の手の中にあるのなら〜(流動体について)」って歌うから、神のみぞ知るって思ってる、と思われるかもしれないけど、

同じ曲の中で同時に「人気(ひとけ)のない路地に確かな約束がみえるよ」とも歌っている。


つまりこの歌詞では人と人とのつながりの大切さを信じてる。

それは「うさぎ!」とか読んだり「我ら、時」とか聴くとわかるので聴いてみて。

(「うさぎ!」は手に入りにくいし、とりとめがないところがあるから、「我ら、時」の方がおすすめ)

 

タイトルのOVERSTANDの意味ですが、これは、「出過ぎた」「完璧に理解した」という二つの意味があります。

この曲の場合、どっちの意味もあると思うけど、YONCEの真意は後者にあるかな、と私は思ってる。

これは、「THE BAY」に入ってるarlightの歌詞の意味がわかると解るようになるので、後で解説するのでちょっと待って。

 

で、これを引き合いに出すとサチモスファンは怒りそうだけど、この曲のやさしい感じが、ぼくのりりっくのぼうよみのファーストアルバム「hollow world」に入ってる「Blackbird」と似ている。

 

なぜかというと、「Blackbird」っていう曲も、メジャーデビューが決まって新しい世界で羽ばたける、っていうぼくりりの心境が出てる曲かなと思ってるんです。

Black Bird

Black Bird

 一応、羽が黒いだけで生きづらい、って嘆く黒い鳥(からす)に、良かったな、お前には翼がある、この空ならもう飛べんじゃない、って語りかける歌です。

 

メジャーデビューする時、ってみんな(っていうか二人だけど)似たような感慨抱くんだなあってちょっと思いました。

 

ぼくりりも「Black bird」っていう曲作ったときは、やさしい気持ちで希望にあふれてた。

でも、最近出した「つきとさなぎ」を聴くと、決して先行き明るくないぼくりりのデビュー後の心境の変化が出ている、という。

この話また後で書きます。

 

ぼくりりはSuchmos(みたいな人)に密かに憧れがあると思うんですよね。

STAY TUNEワンフレーズ歌ったりしてみたり。

幼いながら目指してるものは似てるんだし、もうちょっと相手してあげてもいいんじゃないか、兄さんたち。ぼくりりの言動が癪にさわるのもなんとなくわかるけど。

 

YONCEの方がパーフェクトにスーパー素直だし、曲のスケール感は段違い。

気持ちいいよ。

イントロ・アウトロの音がちょっと宇宙的でもあって、今のコーネリアス好きな人が聴いても、いい、と思うかもしれない。

こういう曲今までなかったですよね。Suchmosには。

 

次にアルバム出したとき、この曲を曲順でどういう位置に持ってくるのか気になるな。

とりあえず5周は聴いたけどこれは飽きない。

 

ボーカル・コーラスと電子音響のバランスがすごく良くて、ドラムとかリズム楽器は鳴ってるけどバックですごく控えめ。ギターもベースもDJも。

Suchmosとしてはかなり引き算した曲じゃないかなと思います。

他の楽器パートが減った分、メンバーがコーラス(というより合唱)して、一体感を出してるんじゃないかな。

MINTの時とも違う、もっと大きくなることを目指すSuchmosのアンセム


YMM 

これは配信に入ってるんですけど

YMM

YMM

 

【Amazon.co.jp限定】FIRST CHOICE LAST STANCE(ステッカー Amazon ver.)

 

こういう初回限定CD買うと、ショートフィルムに出てたサチモスロゴの型抜きシートが入ってるみたいだけど、サチモスのロゴ欲しい、って思う若者じゃないので(笑)


YMMのオリジナルと、どう違うかなんですが、
曲の長さは同じ4分10秒。


YMMはライブバージョンとか聴くと、原曲には間奏部分にちょっと間延びした感じを感じてしまってたのですが、

First Choice Last Stanceバージョンをひと聞きした感覚では、原曲にあった間延びした感じがなくなって全体的に締まってかっこよくなった感じ?

だから、アレンジをちょっと変えたのかなって思ったんですが、前の曲がゆったりなので、曲順でそう聴こえるだけかもしれない。

一緒かもしれません。

 

Mellow Waves (コーネリアス)についてまだ書くことたくさんあるので、またそこに戻りますが、

F.C.L.S.設立でSuchmosはどう変わるか?っていう記事も追々書きます。

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